広報こしがや

1997年06月15日

No.281 頭痛について 滝口 義晃

頭痛はだれもが経験するありふれた症状で、日常診療においても最も頻度の高い症状のひとつです。しかし、原因はさまざまであり、発症機序も必ずしもすべ て解明されているわけではありません。  慢性頭痛の中で最も頻度が高いのが、肩こりからくる筋収縮性頭痛、あるいは筋緊張性頭痛と呼ばれるタイプで、「締めつけられる感じ」とか「圧迫される感 じ」と表現されることの多い頭痛です。多くは、後頭部から側頭部にかけてみられ、頭全体が重く感じることもあります。精神的緊張や各種のストレスが誘因と なっている場合が多く、そのため抑うつ的気分や不眠を伴うこともあります。また今日、OA機器の普及による眼精疲労も誘因のひとつとして重要です。  筋収縮性頭痛の治療は、薬物療法よりもまず誘因となっているさまざまな精神的、肉休的ストレスを取り除くことが重要です。そのためには、日常の仕事や勉 強の間に適当な休憩を取り、軽い運動やマッサージを行うことも効果があります。また入浴も筋緊張を改善させ熟睡効果もあります。一方、近視、遠視、乱視な どの矯正が正しく行われていない眼科的問題や、脊中側弯(せきちゅうそくわん)、変形性頸椎(けいつい)症といった整形外科的問題、高血圧など循環器系の 問題が基礎的要因の場合もありますので注意が必要です。  いつも経験している頭痛より激しい場合、「くも膜下出血の前兆ではないか」、また、いつもより頭痛が長く続く場合、「脳腫瘍(しゅよう)ではないか」と 病院外来に心配されて来られる患者さんがおりますが、ほとんどそれは単なる心配のし過ぎで、この筋収縮性頭痛の場合が多いようです。しかし、頭痛が激しい 場合や長く撥く場合は、単なる頭痛と軽く片づけないで、一度医師に相談されたほうがよいでしょう。医師の診察を受け、十分説明を受けただけで、不安が解消 し頭痛も軽減されることが少なくありません。診察をして疑わしい場合には、頭部のCTやMRIなど検査を行うことで、脳腫瘍、脳血管障害といった疾患も、 今日かなり早期診断が可能となっています。

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