広報こしがや

1997年09月01日

No.286 熱性けいれん 有泉 基水

熱性けいれんは生後3カ月~5歳までの子どもで、カゼなどの38度以上の発熱時におきるひきつけです。しかし発熱したときおこるけいれんには、脳炎や髄 膜炎などの脳の感染症やすでにてんかんを持っている子どもがひきつけを頻発することがありますのでこれらの病気でないことを確認しておく必要があります。 5歳以前の子どもの熱性けいれんは約5パーセント、つまり100人中5人はいることになり、比較的多い病気の一つです。  この病気は単純型と複合型に分けられます。単純型はけいれんの持続時間は多くは1~3分以内と短く、自然にけいれんが消失して、その後繰り返しておこす ことは極めてまれで、てんかんになってゆくことはありません。これに反して複合型はけいれんの発症する前から精神運動発達の遅れや無熱時のけいれんなどが あり、発熱すると20分以上の長時間のひきつけをおこし、けいれん後に一時的な半身麻痺(まひ)をおこすことがあり、将来てんかんに移行してゆくこともあ ります。  熱性けいれんはくせになると俗にいわれますが、単純型のものでは1回だけですみ、その後の発熱時に再度けいれんすることは少ないものです。複合型と診断 されているものではけいれんの再発の危険性が多いと言えます。このような理由から単純型では治療する必要はないのですが、念のために抗けいれん剤の座薬を 常備しておいて発熱時に使用すれば安心していられます。複合型では医師から適切な抗けいれん薬をもらって、連日服用し、医師が種々の検査結果や臨床経過か ら薬を中止してもよいといわれる時まで怠薬しないようにしましょう。抗けいれん薬は急に中断するとけいれん重積状態という長時間のけいれんとなりますか ら、中止するときも漸次減少してゆくことが大切です。  熱性けいれんの子どもへの予防接種は単純型で接種しても心配ないと医師から判断されたときでも、万一のために抗けいれん座薬を準備しておいて接種するこ とです。しかし熱性けいれん後すぐには接種しないほうが安心です。複合型では医師の判断で接種可能と言われたときに行いましょう。けいれんが消失して1年 間はやはり見合わせるのがよいと思います。

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