広報こしがや

1998年08月15日

No.306 虫刺され 中井 太一

虫刺されには、蚊やハチ、ダニのような誰でも知っている虫によるものと、あまりなじみのない虫が原因で起こるものがあります。今回は後者について、その中でもよくみられる、ドクガ皮膚炎と毛虫皮膚炎について述べていきます。
これらは、本人がその時に刺されたという自覚が少なく、のちに皮膚にブツブツが出てくるので、ドクガや毛虫が原因と分からず受診してくることが多いようです。
ドクガ皮膚炎は、夜に灯などに飛んできたドクガの尾についている幼虫由来の毒毛針が皮膚にふりかかり、かなり強い痒み(かゆみ)を伴う赤い丘疹(きゅうしん、ブツブツ)を引き起こします。
毛虫皮膚炎は、椿やサザンカに発生するチャドクガの幼虫、梅や桜に発生するモンシロドクガやイラガの幼虫などにより発症します。庭木の手入れをしている 時や、草むらや林に入って仕事をしたり遊んだりしている間に毛虫の毒針に刺されますと、あとで麻しんのような赤いブツブツが皮膚に生じます。
特別な虫よけや予防はできませんので、夏場は野外で作業をしたり、遊んだ後はシャワーなどで体を洗い流しておく方が無難でしょう。もちろん庭木に毛虫が発生しそうな植え込みがあれば、殺虫剤で早めに毛虫を退治しておきましょう。
そのほかに、カミキリモドキという虫がいます。夜間、灯に向かって飛んできて人の体にとまり、それを払ったり、たたいたりした時に虫から分泌された毒に よって、水ぶくれになる水疱(すいほう)性皮膚炎を起こします。また線状皮膚炎を起こすアオバアリガタハネカクシという虫は、やはり夜間に水銀灯や蛍光灯 に寄ってきて、人の体に体液を付着させた後、2時間くらいしてその場所に、ミミズバレのような痛がゆい皮膚炎を起こさせます。
最後になりますが、マダニという虫は、山や高原にいて、そこに行った人に寄生します。寄生というのは、虫が頭を皮膚の中に差し込んで吸血し、スイカの種 のような形の虫体が皮膚に付いている状態です。力ずくでむしり取れば虫体は取れますが、皮膚に差し入れた口の部分は残存していて、合併症(脳炎、Q熱)の 原因となります。
このはかにも、夏場はさまざまな虫がいますのでご注意ください。

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