広報こしがや

1999年04月01日

No.320 妊娠中の性生活 堀中 俊孝

性生活の妊娠に及ぼす影響
妊娠中にも性生活を維持することは夫婦の精神的安定にとって大切でありますが、一連の性行動は子宮収縮をおこす可能性があります。射精された精液中には 子宮収縮をおこす物質が含まれおり、また、感染の原因となる為、膣内(ちつない)射精は避けるべきと思われます。妊娠が正常であるかぎり、分娩の4週間前 までは性交が安全にできるとしていますが、妊娠中には種々の問題があります。分娩まで毎週性交を行っていた妊婦では羊水感染や早産が高頻度に発生するとい う報告もあり、正常であっても36週以降は性交を控えることが賢明であると思われます。
妊娠中の性生活
僉体位僊 妊娠前半期は正常位でもよろしいですが、特に妊娠週数が進み腹部圧迫を避けるためには側臥(そくが)位ないし後背位が推奨されます
僉コンドーム僊 膣内射精による感染予防と子宮収縮を避けるためコンドームの使用が推奨されます
僉時間僊 短時間で済ませるべきで、長時間のセックスは避けてください。特に夫の協力による細かい配慮が必要と思われます。
ただし、右記の性行動はあくまでも経過正常な者にのみ性交を許可し、何らかの異常がある場合は医師に相談するようにしてください。切迫流・早産と診断され安静が必要な方、頸管無力症や前置胎盤、多胎妊娠の場合は妊娠全期を通じて避けたほうがいいでしょう。
産褥(さんじょく)期の 性生活
産後の性生活は1カ月検診までは性交しないようにしてください。1カ月検診の際に状況により性交を許可しますが、その際、産後の排卵が分娩(べん)後平均2カ月でそのまま妊娠してしまうことがあることより、避妊を忘れないよう注意してください。
性生活は夫婦の絆であり、妊娠中といえどもおろそかにしてはなりません。妊娠により自分に性欲がなくなっても、夫には男性として性欲があることを理解し 上手に協力すべきであります。なお、妊娠中は夫婦の愛情を確かめ育む時期であると同時に、愛情が傷つきひびが入りやすい時期でもあることを考え、プライバ シーを保ち精神的支援をしながら協力する必要があると思われます。

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