広報こしがや

1999年07月01日

No.326 食物アレルギー 小泉 昭

アレルギーによって起きる病気はアトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎など数多くありますが、「食物アレルギー」もその中のひとつです。 食物アレルギーと一言で言っても、皮膚のかゆみだけを伴う軽症のものから呼吸が止まって命までも落としてしまうような重症のもの(アナフィラキシーショッ ク)までいろいろあります。一般的に食物アレルギーとは、食物またはそれに含まれる成分を摂取することによって起こる免疫反応をいいます。
食物アレルギーの特徴は全身のほとんどの臓器に症状が出現することです。その症状には食物摂取後15~30分で症状が出現する即時型と2時間以上経てか ら症状が出現する遅発型とがあります。即時型の症状として多くは●E抗体というものが関与しており、食物摂取後およそ15分以内に口内の掻痒(そうよう) 感、吐き気、おう吐、鼻汁、咳嗽(がいそう)、呼吸困難などの症状が出現し、ときには先に述べたアナフィラキシーショックを起こすこともあります。では、 どの食物がアレルギーを起こすかというと、すべての食物がアレルゲンとなりうるのです。わが国において比較的頻度の高いものとしては三大アレルゲンと考え られている鶏卵、牛乳、大豆があげられます。また、厚生省の過去十年間の文献調査によると、そば、小麦、えび、貝、ゼラチン、牛乳、キウイ、さくらんぼ、 桃などが重症のショック症状を起こす原因となっています。軽症のアレルギー症状を起こす食品は、卵、鳥肉、豚肉、牛肉、米、山芋、くるみ、さば、トマト、 りんごなどの肉類、魚介類、野菜、果実と実に幅広いといえます。
食物アレルギーの診断にはさまざまな検査(皮膚テスト、特異的●E抗体、食物の除去・誘発試験など)がありますが、最も基本となるのは詳細な問診です。 患者さん白身あるいは保護者の方が摂取した食物の種類と症状との因果関係に気が付いている場合が少なくありません。この際、2週間程度の間に食べた食品を 調味料まで含めて詳細に記載した食物日誌をつけていただき参考にすることもよくあります。
食物アレルギーと診断された場合は、原因となるアレルゲンの除去が治療の原則です。除去食や薬物療法に関してはアレルギー科の先生とよく相談して治療法を決定することをおすすめします。

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