広報こしがや

1999年10月01日

No.331 解熱剤の使い方(特に小児について) 秋山 美智子

熱さましの使い方については、いろいろな意見があり、保護者の方もどうしてよいか、とまどっていることが多いようです。
体温は、頭の中の視床下部という場所で調節されています。発熱の原因は、
①体温の調節が、正しく働かなくなってしまった場合(風邪など)
②体温の調節は正常だけれど、熱の産生が多すぎた場合
③体温の調節は正常でも、熱が身体より出ていきにくくなった場合(熱射病など)があります。
この中で②と③は熱さましを使う必要はありません。水分を取り、涼しい環境にすることが大切です。熱さましの必要なのは①の場合だけです。また、熱のた め、子どもの頭に影響が出てくるのではないかと心配する人も多いようですが、41・0度以上の異常高熱や、特殊な病気以外は、発熱だけで頭に熱による影響 が出てくることはありません。そして、熱さましが病気を治すこともありません。逆に、熱さましを安易に使ってしまうと、病気はかえって長引いてしまうこと もあります。これは、熱が出ることにより、身体自体が病気の原因となるウイルスや細菌をやっつけているからです。無理に熱を下げてしまうと、やっつける力 も弱くなります。また、熱さましの副作用も心配です。
しかし、熱が高いと、食欲もなくなり、水分もとりにくくなりますし、夜も寝苦しくなり体力も落ちてしまいます。熱性けいれんを持つ子どもは、熱を下げることでけいれんも起こしにくくなります。
熱さましは使い方により悪者にもなり、逆に強い味方にもなります。38・5~39・0度以上で、ぐったりして水分も取りにくい時や、睡眠を妨げられた時 は使った方がよいでしょう。38・5度以上でも、食欲もあり、元気もよい場合は使う必要はありません。水分をよく取り、氷まくら、額にはり熱をさますシー ト等で冷やしてください。
熱さましを使っても、平熱にならないと心配する人もいますが、熱さましの役目は体温を少し下げて、充分に水分を取り、よく眠れるようにすることなので す。熱さましには、たくさんの種類があり、病気によっては使ってはいけない種類もあります。また高熱により、神経障害を起こす特殊な病気や、心臓病などの 慢性病のある子ども、熱性けいれんを持つ子どもは、かかりつけの先生によく相談し、正しく熱さましを使うようにしてください。

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