広報こしがや

2000年09月01日

No.346 手のしびれ、痛みについて 鮫島 弘武

神経の圧迫による手のしびれ、痛みについて述べたいと思います。
手に行く神経は脳からけい部のせき髄、そのせき髄から枝分かれし、首の骨から出て鎖骨の下を通って腕からひじ、手首、そして指までつながっています。そ の通り道のどこかで神経が圧迫されると指のしびれ、痛みとなります。そして圧迫されやすいところはだいたい決まっています。
まずは首の骨です。これは骨が変形したり軟骨が出っ張ったりして神経を圧迫します。病名では変形性頸椎(けいつい)症、頸椎椎間板ヘルニアなどです。肩 から手にかけてのしびれ、痛みを生じ、ひどいと上肢の筋力低下を起こすこともあります。次は鎖骨の下です。胸郭出口症候群などです。これはなで肩の体型の 女性に多く、肩こり、手のしびれなどの原因となります。次は肘(ひじ)の内側部の障害で起きる肘部管症候群です。これは肘の内側で神経が圧迫され小指側の しびれ、痛み、手の筋肉の萎縮(いしゅく)、筋力低下を起こすものです。あとは手首のじん帯で神経が圧迫されて起きる手根管症候群です。手の使いすぎのほ か、女性では出産前後、更年期など女性ホルモンのバランスが変化したときになりやすい病気です。症状は明け方に強い痛み、しびれを特徴とし、ボタンかけな ど細かい手先の作業がやりにくくなったりします。ほかには軟部腫瘍(しゅよう)、ガングリオンなどで神経が圧迫されることもあります。また、肺の腫瘍で手 がしびれることもあります。
このように手のしびれといってもいろいろな原因(このほかにも)があり、場合によっては2つ以上の病気が合併している場合もあります。そして、当然原因 となる病気により治療法も違ってきます。したがって大切なのは的確な診断です。診断のためにはレントゲンなどの画像診断、神経伝導速度(神経の流れる速さ を計る検査。神経の障害があると遅くなる)のほか、いつどの場所にどんなしびれ、痛みが出るかなどの問診、各種徒手検査(いわゆる診察)も非常に大事で す。整形外科でこれらの病気は診断されます。
最後に神経の障害の場合大切なのは筋肉が弱くなる前に治療することです。神経の障害により筋肉がやせてしまってから治療をしても非常に回復が悪いです。痛みがあまりなくても手に力が入りにくい、手がやせてきたなどと感じたら早めの受診をお勧めします。

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