広報こしがや

2002年08月01日

No.369 漢方薬について 吉田耳鼻咽喉科クリニック 吉田 悌友

Q 自然食品の愛好家です。漢方薬がブームで興味があるのですが、よくわかりません。漢方薬について教えてください。
A漢方薬を、自然食品と同じ感覚で考えるのは間違いです。
▽漢方薬に関する誤解
1漢方薬は長く服用しないと効果が出ない
○服用して数分で効果が現れるものがあります
2漢方薬は副作用がない
○漢方薬は薬ですので使用法を間違えれば副作用も起こりえます
3漢方薬は保険がきかないので高価だ
○かなりの部分で保険の適用があります
4漢方薬より西洋薬の効きがよい
○漢方薬でのみ治療可能な病気もあります。風邪等で、漢方薬の心地よい効きを体験された方は、漢方薬を希望することが多いようです。また、よく風邪をひく 子どもに漢方薬を服用させると元気になって、風邪をひきにくくすることは、西洋薬ではできない治療です。漢方治療には、独自の理論に基づいた診断法と治療 体系があります。漢方薬を病名のみで選択することは難しいものとお考えください。漢方では「同病異治」(同じ病気でも異なった薬で治療をする)、「異病同 治」(異なった病気でも同じ薬で治療をする)といわれています。漢方に詳しい医師、薬剤師の診察を受けることが必要です。
漢方医学の中でも、日本には独自に発達した優れた日本漢方が存在します。明治期に、西洋医学偏重主義のため、一時壊滅的な状態が続きました。その後さま ざまな努力の末復興し、保険診療も可能となりました。医学部教育の中にも、今年度からやっと和漢薬の講義が取り入れられることになりました。現在、漢方薬 の有用性が見直されて漢方薬を処方する医師も増えてきております。しかし、漢方ブームをあおるような雑誌等での取り上げ方には、疑問のあるようなこともあ るので注意が必要です。漢方治療のみを過信して、西洋治療を否定することも危険です。
日本は世界で唯一、同一の医師が西洋薬と漢方薬の両方を使用できるという恵まれた状況にあります。わたしは、おのおのの長所をうまく取り入れて治療を行うことが大切と考えています。

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