広報こしがや

2003年11月01日

No.384 女性の皮膚疾患「特にニキビについて」 西川皮膚科医院 西川 千香子

皮膚は人の外側を覆っているため、皮膚自体の病変以外に内臓疾患や構神的な悩みにも左右されます。特に女性ということを考えると女性ホルモンに伴う妊娠時の皮膚の変化や、更年期の皮膚の冷え、ほてり、痒かゆみや足底の硬い変化、また家事や育児による手荒れ、お化粧による長期的な顔のかぶれなど外観的・美容的問題も男性より大きいと思います。今回はこの中でも若い女性が気になるニキビを取り上げました。
俗に青春のシンボルといわれるニキビですが、いまや健康のバロメーターともいえます。原因は脂の分泌が盛んになり、毛穴をふさぎ、弱毒のニキビ菌が増殖し、炎症を起こすことです。本来は生理的なことが異常に働いて発症するのですから、体質もありますが年齢がいけば自然に要因は少なくなり軽快していくはずです。しかし若い学生さんに限らず働き始めた女性の多くは、仕事や職場のストレスが生活の不規則やホルモンの不調を引き起こし、治りにくいケースも少なくありません。
治療は化膿を抑える抗生剤や皮脂分泌を整える漢方製剤、ビタミン剤を投与しますが、それに頼らず家庭でのスキンケアや免疫能に関する生活習慣が大切といえましょう。
スキンケアに関しては、洗顔やイオウ含有の塗り薬の脱脂作用や、悪化時の殺菌消炎力のある軟膏の使用ももちろん必要です。しかしやりすぎるとかえって肌の状態を悪化させるため、刺激にならない程度に肌の汚れを取り除き、保湿も心がけることが大事です。またお化粧によりかえって毛穴を詰まらせてしまうので、油成分の少ない化粧品を使用し、コールドクリームやマッサージによる刺激は避けたほうが良いと考えます。
また、額やあごに毛髪や洋服がかかるのも良いことではありません。食生活も間食、特に糖分は少し控え、食物繊維を多くとり便秘の改善を心がけ、ストレス解消、適度な運動、十分な睡眠など規則正しい毎日の生活が基本です。薬や美容的方法に期待しすぎず、本来のより良い生活を長期に続けていけば必ず良くなってきます。
皮膚のトラブルはやはり人間生活の鏡であり、体調を映す側面と考えていただいて、心身ともに健康な生活を送っていただきたいものです。

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