広報こしがや

2005年06月01日

No.403 糖尿病治療に疲れた方へ 南越谷内科クリニック 板橋 秀雄

生活習慣病の一つである糖尿病は、特に食事療法や運動療法が強く求められる病気です。
自覚症状がほとんど出ない病気ですが、合併症が怖い病気だということは皆さんご承知のことと思います。目や腎臓だけが悪くなるのではなく、全身が砂糖漬けの状態と同じ事なので、虫歯や歯周病、皮膚の病気まで引き起こします。この飽食な時代での食事管理や便利になった世の中での運動は、自分自身をコントロールし、長期に継続していかなければならず根気のいることです。
患者さんの診療に携わり思うことは、治療を中断される方、薬を飲むだけの方、病気を放置する方等様々です。どのようにして治療の中断を防ぐか、なぜ血糖値が高くても薬だけ飲めばよいと思うのか、放置する方も含めわれわれ医療者側の患者さんへのかかわり方についても考えさせられます。
最近、エンパワーメントとかコーチングという言葉が医療者側で使われるようになりました。これは患者さん自身の中から、これから実行していく上での鍵となるものを一緒に考え話し合いましょう、医療者側に良きパートナーになりましょうという「かかわり方」の変革を求めるものです。患者さんにおかれても完璧を求めるのではなく、その時々での小さな目標を立て達成し、途中で投げ出さない事が大切です。治療に疲れる事もいやになる事もあるでしょう。その時は一休みして軌道修正し目標の立て直しを計りましょう。また以前は、運動は20分以上続けなければ効果がないように言われていましたが、短時間でも細切れの運動でも積み重ねていけばインスリンの効きが良くなります。まさに「継続は力なり」ですね。日々の生活の中から少しでも「変えられる事」「出来る事」を一緒に見つけましょう。ドクターだけでなく看護師・栄養士・薬剤師等があなたとのかかわりを持っています。また最近では、糖尿病の専門資格を持った糖尿病療養指導士が育ってきていますので、心理面も含めて一人で悩まずコーチングを受けてみるのもよいでしょう。

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