広報こしがや

2005年08月01日

No.405 アスベストによる健康被害(悪性胸膜中皮腫) なつクリニック 松村 公人

アスベスト曝露ばくろに貎による健康被害が、連日新聞紙上に報道され社会問題化しています。
アスベストは建築資材として広範囲に使用されており、もし高濃度に曝露された場合「悪性胸膜中皮腫」と言う癌がんが発生します。
この癌の特徴は潜伏期間が20年である事、一旦発生すると進行は速く難治ですが、幸い大変まれな疾患です。アスベストが原因である事は明らかですが、曝露期間や曝露量との関係は不明です。しかし一般住民が長期間高濃度に曝露される機会はほとんどありませんから、過剰な不安や危険視する必要はありません。
アスベストにはホワイト(白石綿)とブルー(青石綿)の2種があり、ブルーはアフリカ原産で発癌性も高い事から使用禁止になっていますが、安価なために健康被害より企業利益が優先される現代では疑問です。
アスベストは、中皮組織(胸膜、心膜、腹膜)を好んで障害します。
胸膜から発生する場合が多く、症状は呼吸困難や胸痛、胸部圧迫感、肩痛等で、外科切除を中心に化学療法、放射線療法が併用されますが、確立された治療法はありません。
アスベスト曝露による悪性胸膜中皮腫が発生する危険のある職場には、建築業各種、建物解体現場作業、石綿工場、船員、電気工事関係の職種、ボイラー、ビル管理、塗装関係等で、他にアスベスト曝露とは直接関係のない職業では理容業が挙げられます。
治療法が確立していない場合は輊、予防軫に優る治療はありません。
アスベスト曝露危険のある業種に就労している場合は、防塵マスクの使用、定期的な健康診断、職場の環境改善が不可欠です。
アスベスト曝露業種に就労している人の家族では、アスベストが付着した作業衣のままで帰宅する場合が問題です。
直接アスベスト曝露とは関係しない職種である理容業の場合も、同様に来客のアスベスト粉塵ふんじんに汚染した作業衣からの曝露が心配されます。一般住民では、アスベストに曝露される機会は近所にアスベスト関連工場がある場合、工場の風下に居住している場合、通勤通学で工場近辺の通行を余儀なくされる場合等です。遠回りしてでも、風下は通行しないよう配慮するのが賢明です。
紙面の都合で十分な情報が報告出来ませんが、より詳細は専門医にご相談下さい。
※アスベスト曝露…アスベスト粉塵の飛散による吸引

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