広報こしがや

2008年06月01日

No.439 禁煙外来のすすめ 越谷ハートフルクリニック 佐藤 陽二

喫煙が肺がん、肺気腫、慢性気管支炎などの呼吸器の病気を引き起こすだけでなく、心臓や脳卒中など様々な病気と関連していることがわかってきました。さらに、喫煙の害が広く認知されるに至って、公共施設、職場、レストラン、交通機関など様々な場所での禁煙が実施され、愛煙家にとってはますます喫煙場所が限られてきています。
そんななか、禁煙にチャレンジした方も多数いると思います。しかしながら、禁煙すると喫煙により供給されていたニコチンが枯渇し、タバコが吸いたくなり、イライラ感、不安、ふるえ、不眠、落ち着かないなどの離脱症状(禁断症状)が出現します。その結果、禁煙しようと思っても途中で脱落する人が後を絶ちません。今では喫煙は「ニコチン依存症」という病気として捉えられるようになりました。したがって、単に精神力だけで禁断症状を克服するのは困難なのです。
平成11年にニコチンパッチという貼り薬が日本でも許可され、ニコチン代替療法ができるようになりました。ニコチンパッチにはニコチンが含まれており、皮膚から徐々にニコチンが補充されることにより禁煙による禁断症状を抑えてくれます。これまでの禁煙は「つらいもの」から「無理なく」に変貌しました。また、今年5月には新しい経口禁煙補助薬が発売されることになりました。ニコチンパッチとは異なりこの薬にはニコチンは含まれていません。この薬は禁煙した時の禁断症状を抑えながら、仮に喫煙したとしても喫煙の満足感が得られないようにして禁煙を達成しやすくする内服薬です。これにより禁煙方法の選択肢が広がりました。
もし禁煙したいと思ったならば、ぜひ、お近くの禁煙外来を受診することをお勧めします。禁煙外来では医師がニコチン代替療法と日常生活の工夫をアドバイスし、無理なく禁煙ができるようにサポートします。実際に治療を受けた方に聞いても、起床時にタバコを吸いたいと思わなくなったとか、周りでタバコを吸っていても気にならないなどの意見が多く寄せられています。また、これまでは禁煙治療は自費扱いでしたが、ニコチン依存症と診断された患者さんが、敷地内禁煙を実施しているなどの施設基準を満たしている病院で治療を受ける場合は保険適用となりました。越谷市内でもいくつかの施設で保険適応が受けられますので、お近くの禁煙外来のある施設へお問い合わせください。

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