広報こしがや

2008年12月01日

No.445 動悸って何のこと 萬屋クリニック 萬屋 穣

みなさんがよく耳にする動悸というのはいったい何のことでしょうか。
動悸とは、医学的に表現しますと心悸亢進といいます。この心悸亢進、動悸は心拍数(心臓が1分間に打つ回数)がひどく増加する状態や心拍動(心臓の存在がわかる感覚の)不快な感じをいいます。
胸がドキドキする、ドンドンする、トコトコする、スースーする、バクバクする、脈が飛ぶ、脈がふれない、耳の下や頭でズンズンする、心臓があるという感じがする、心臓がとまる、などと患者さんは表現します。
さて、この動悸の原因はといいますと、これまた原因がひとつではないのです。「動悸の訴え方がまちまちなら原因もいろいろあるんじゃないの」確かにその通りですが、動悸の表現によって病気が決まる訳ではありません。
原因として多いのはやはり心臓の異常です。不整脈(脈の数、リズムの異常)、心臓の中の構造の異常、心臓の血管がつまることで起こる異常などです。心房細動という不整脈の原因となって動悸を感じることがあります。これらは、診察、心電図、レントゲン、超音波検査で調べることができます。
心臓以外でも動悸を感じることがあります。身近な原因としてタバコを吸ったり、コーヒーや濃いお茶、アルコールを飲んだりすると脈が速くなり、血圧が上がります。風邪などで熱が出ても脈は速くなります。貧血が進んで血液がうすくなるとより多くの血液を体に送ろうとするため、脈が速くなります。血糖値(血液中の糖の値)が低くなっても動悸を感じます。
臓器の働きすぎで動悸の原因となるものがあります。甲状腺という喉の近くにある器官の働きすぎで脈が速くなったりします。また、腎臓の上にある副腎という器官に腫瘍(できもの)ができると、働きが良くなりすぎてカテコラミンという物質がたくさん出て血圧が上がり動悸を感じます。これらの病気をさがすためには血液検査をすることで調べることができます。
検査結果に異常が見られないのに動悸を感じる場合もあります。意識が心臓に行ってしまい、病気があると思い込んでしまう場合。自律神経が不安定で心臓が速くなったり遅くなったりする場合に動悸を感じます。また、まれに肺や胸の周辺の病気や胃腸の病気でも動悸を感じる場合があり、動悸と一言で言っても原因は様々であります。治療しなくてもよいものから重症になってしまうものまであります。
いつもとちょっと違うなあ、と思う動悸を感じたら放っておかずに診察を受けることをお勧めします。原因によって治療もかわってまいります。しっかり診断して治療につなげていくことが大事です。

過去のホームドクター