広報こしがや

2009年04月01日

No.449 うつ病について 南埼玉病院 瀬戸 睿

うつ病という病気にどのようなイメージをもたれるでしょうか?最近ではテレビや新聞などで特集を組まれたりすることも多く、以前よりうつ病という病気を耳にすることが多くなっています。「自分に限ってうつ病になるわけない」「うつ病は心の弱い人がなる病気だ」と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし実際には、うつ病は誰でもちょっとしたきっかけでかかるありふれた病気です。
うつ病は、自分より他人や仕事のことを優先させる、几帳面でまじめな人がなりやすいといわれています。過労や出産、引越し、昇進、退職、病気や身内の死など、日常にあるストレスや環境の変化にさらされることによって、脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった、神経伝達物質の働きが低下し発症すると考えられています。うつ病にみられる症状は、憂うつ感、やる気が出ない、興味がわかない、楽しめない、おっくうで意欲が出ない、考えがまとまらない、自分を責めてしまう、などの精神症状と、疲れやすい、朝早く目が覚める、熟睡できない頭痛、肩こり、腰痛、胃もたれ、食欲低下、体重減少などの身体症状があります。患者さんによって症状の種類やあらわれ方はまちまちで、ついそのまま放っておいたり、単なる疲れとして処理したりして、発見が遅れて病状が悪化してしまうこともあります。
治療としては、うつ病はエネルギーがなくなる病気なので、まず休養が大切です。
無理に外出や運動をする必要はありません。また、脳内の神経伝達物質の働きを補うために、抗うつ薬による治療も行います。抗うつ薬は飲み始めてから数日たって徐々に効きはじめ、1~4週間のうちに次第に効果があらわれてくるのが特徴で、継続して内服することが重要です。不眠や不安感や焦りを改善するため、睡眠導入薬や抗不安薬を併用することもあります。症状が良くなっても、再発予防のためある程度服用を続けてから、徐々に薬の量を減らしていきます。とにかく焦らず、じっくりと治していくことが大事です。
うつ病は、早期発見と適切な治療によって治すことができる病気です。前記述べた症状がみられたら、ぜひ病院を受診してください。

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