広報こしがや

2010年09月01日

No.466 変形性膝関節症 あおき整形外科 青木 義広

高齢の方の膝痛の主な原因は変形性膝関節症です。主に加齢と使い過ぎにより軟骨がすり減って炎症をおこす状態ですが、時に昔の骨折や靱帯損傷などが原因となっていることもあります。
症状は歩行時、運動時の膝痛で、安静時には痛みがありません。階段昇降では昇るときより降りるときのほうが痛みが強いのが特徴です。これは降りるときに膝の屈曲が深くなることと、体重の何倍も膝に負担がかかるためです。膝関節の構造の関係で内側に多く荷重がかかるため、膝関節内側がすり減って痛みが出ます。進行すると膝関節水腫、いわゆる「水がたまる」状態になり、さらに進行するとO脚や可動域制限がおこります。治療は内服薬、外用薬、理学療法が主となります。痛みどめの飲み薬、貼り薬が有効です。また、大腿頭筋を強化することにより膝の安定性が増し、症状を抑えることができます。
ヒアルロン酸の関節内注射も有効です。1週間に1回、計5回ほど関節内にヒアルロン酸を注射します。関節の潤滑をよくし、関節軟骨を保護する働きや炎症を抑える作用が有ります。注射の効果を高めるため、水腫のある場合は水を抜きます。よく水を抜くと癖になると誤解している方がいますが、抜くからたまるわけではありません。治療を続け炎症が治まることにより水腫が減少します。
痛みが強く各種治療にても改善がない場合、手術をすることがあります。半月板や軟骨が切れて挟まり痛みや可動域制限が出ている場合は、関節鏡手術で一部軟骨を切除することで症状が軽快しますが、効果は一時的です。
大がかりな手術としては、自分の骨を切って荷重部位を変え痛みをとる「高位脛骨骨切り術」、関節を金属に入れ替える「人工膝関節置換術」などがあります。変形の進行具合、年齢などによって手術方法が決まります。
ごくまれに膝の骨の壊死などの特殊な疾患や、関節リウマチなどの全身疾患で変形性膝関節症のような症状が出ることがあります。専門医を受診し、適切な治療を受けてください。

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