広報こしがや

2011年05月01日

No.474 子宮頸癌をワクチンで予防 堀中医院 堀中 俊孝

子宮頸癌は、ヒトパピローマウイルス(以下HPV)と呼ばれるウイルス感染によって発症することが分かっています。HPVの感染経路は主に性交渉といわれています。性経験のある女性の約8割が一度は感染しますが、直ちに癌に進むわけではなく約90%は免疫の働きにより自然治癒します。しかし、残り10%が癌になる前の状態(異形成)になります。この異形成もほとんどが自然治癒しますが、異形成の約10%が癌になるといわれています。ただし、自然治癒した場合でも免疫記憶が形成されないため何度も感染を繰り返します。この感染を予防するためワクチンが開発されました。HPVと外側の殻は同じでも、中にウイルスの遺伝子がないニセHPV(ワクチン)を人工的に作りました。このワクチンを接種すれば、体はHPVと勘違いし抗体を作り感染を予防します。子宮頸癌の70%が予防できます。しかし、ワクチンには治療効果はなく、すでに感染している場合はそれを排除することはできません。また、接種してもワクチンの効かない場合もあるため、癌検診を定期的に受けることも必要です。
接種は性交渉を経験する前が最も効果的であり、11~14歳頃にすることが推奨されています。次に効果が期待できる年齢は15~45歳です。効果は20代が10代に次いで高く、45歳まで有効性が確認されています。接種は3回筋肉注射を行います。ワクチンの費用ですが、健康保険の対象外のため、自費で受けた場合は3回で5~6万円程度かかります。
平成23年3月より越谷市では、16歳の女子(4月より中1~高1相当)対象に全額公費負担で行われるようになりました。大人は癌検診を、子どもはワクチンを接種することによって、子宮頸癌の発症を高い割合で予防できます。保護者は、お子さんが将来未接種のため子宮頸癌になったなどとならないように、ぜひ接種に対して関心をもっていただきたいと思います。
※現在ワクチンが全国的に不足しています。供給が整いしだい、市からお知らせいたします

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