広報こしがや

2012年01月01日

No.482 乳幼児の肘のけがについて さめしま整形外科 鮫島 弘武

乳幼児が転んだりして、肩、肘、手首などを痛がる場合に多いのは、手首、肘、鎖骨の骨折です。一方、肩、肘が脱臼することは稀です。今回は肘のけがについてお話します。
肘、手などに腫れ 熱感がない場合は肘内障が考えられます。乳児から6歳ぐらいまでによく見られます。手をひっぱったり、寝返りなど、軽微な外力で肘の靭帯がずれておきます。手首が痛いと言ったり、肩が脱臼したように見えたりします。手を動かそうとすると痛がって嫌がりますが、そっとしておくと腫れや熱感もなくおとなしくしています。夜であれば翌朝に整形外科、接骨院などを受診してください。専門医であれば容易に整復できます。しかし、整復しても痛みが取れない場合は、小さな骨折を疑いX線検査が必要です。
肘、手などに腫れ、熱感があるが外見上、肘に変形が見られない場合は、ずれの少ない上腕骨顆上骨折(肘関節のすぐ上の骨折)、上腕骨外果骨折(肘の外側の骨折)、肘頭骨折などが考えられます。手の爪の色がピンクで、ぐー、ぱーがちゃんとできれば(血行障害がなく、神経の麻痺がない)あわてることはありません。夜であれば患部を冷やしてそっとしておいて、翌朝に整形外科を受診してください。ただし、骨折のずれが2mm~3mm程度であっても手術が必要な場合があります。必ずX線検査をしてください。
肘にひどい変形があり熱感や痛みが強い場合は、上腕骨顆上骨折、上腕骨骨端線離解などが考えられます。さらに、爪が白くなり、手が冷たくなった場合は血行障害の可能性があります。すぐに整形外科を受診してください。 変形を直し、血行障害を治さなければなりません。血行障害が長時間に及ぶと筋肉組織が壊死してしまい、麻痺が残ってしまいます。血行障害がない場合は、あわてる必要はありまでは徐々に腫れてのちに血行障害をおこしたり、また、変形がひどいままでは痛みも強いので、やはり早期に整形外科を受診したほうがよいでしょう。
以上、簡単な目安をお話しましたが、乳幼児の肘は軟骨部分も多く、X線でも骨折が確認できなかったり、診断、治療が難しい場所です。迷ったら早期に受診してください。

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