広報こしがや

2013年10月07日

№503 流行性角結膜炎(はやり目)について こしがや眼科クリニック伊勢 武比古

流行性角結膜炎(はやり目)とは、感染力の強いアデノウイルスによって引き起こされる感染症で、ウイルス性結膜炎の代表的な疾患です。小児に多くみられますが、成人も含んだ幅広い年齢層にみられます。ウイルスに感染しても最初の約1~2週間の潜伏期間は症状がなく、その後、急に発症します。プールでの感染が原因で夏季に多くみられましたが、最近は、どの時期にも起こります。
 症状は、結膜(白目)が充血し、目やにで目が開きづらくなります。涙目になったり、まぶたが腫れたり、痛みを感じることもあります。症状が強くなると、まぶたの裏に偽膜と言う白い膜ができ、これを放置すると結膜が癒着を起こします。また、偽膜により角膜(黒目)に傷ができ潰瘍を起こし視力低下をきたすこともありますので注意が必要です。角膜炎を発症すると長期にわたり治療を必要とします。片目に発症後、数日後に反対の目にも発症する場合が多く、通常、2~4週で治癒します。現在では簡易キットを用いて早期の段階で判断できる場合もあります。
 幼稚園・保育園や学校では、はやり目は学校保健法で「第三種の伝染病」に区分されており、「眼症状が軽減してからも感染力の残る場合があり、医師により伝染のおそれがないと認められるまで出席停止とする」とされています。成人の場合、他人と接触する機会の多い職場の従事者は、内規で出勤停止が義務付けられている場合がありますので、職場で相談して下さい。
 治療は現在のところアデノウイルスに有効な薬はなく、対症療法として炎症を抑え、細菌による二次感染を防止するための目薬を使用します。接触感染と言って手指を介して感染が広まるので、目を触らないように極力気を付けることが一番大切です。涙や目やにはティッシュペーパーなどで拭き、手は十分に洗いましょう。また、タオル等の共用のものは家族と別々にし、入浴も最後にし、触れるところは、できるだけこまめに消毒用アルコールやハイターなどの次亜塩素酸ナトリウム(0・02%)で消毒しましょう。症状に気づいた時は、すぐに眼科を受診してください。

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