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2014年08月05日

№513 アタマジラミについて   中井皮膚科医院  小森 一哉

ヒトに寄生するシラミは3種類あり、アタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミです。このうち、頭の髪の毛に白い卵を産みつけるのはアタマジラミです。アタマジラミの卵は約0・5ミリメートルで、毛の根元付近に多く産みます。アタマジラミの成虫は約2~4ミリメートルです。コシヒカリの米粒が約5ミリメートルですから、米粒より小さい大きさです。髪の毛の間に隠れていて、動きも早いので、卵より見つけにくいです。
 アタマジラミと見分ける必要があるのが、ヘアキャストという毛を包むようにできるフケの一種です。アタマジラミの卵と違い、ひっぱると簡単にとれます。ただし、孵化した後のアタマジラミの卵の殻は孵化前の卵と比べると簡単にとれるので、より正確には顕微鏡で検査して区別をつけます。
 アタマジラミの治療にはスミスリンという駆除剤を使います。シャンプーになっており、3日に一度(2日おきに)3~4回使用します。これと同時にシャンプーに付属している専用のくしで卵や殻をすきとります。最近、スミスリンに抵抗性をもったアタマジラミが確認されています。この場合はくしでのすきとりしか治療手段がありませんので、くしの使用も治療上重要です。治療が成功しても、孵化した後の卵の殻が髪の毛に付着して残っていて、一見まだアタマジラミ症が治っていないかのように見えることも多いです。この場合、毎日くしですきとった卵の数が減っていくようでしたら、卵の殻のみが残っている可能性が高いと考えられます。
 アタマジラミは衛生状態のよい先進国でも多くみられ、日本でもよく見かけられます。決して不潔だからかかってしまうものではありません。アタマジラミは髪の毛の接触でうつるので、子ども同士が頭をよせて遊んだり、頭をよせて寝たりしてうつります。また、アタマジラミは人から離れたのち条件が良ければ3日間ほど生きていますので、衣服やシーツなどを介した感染も直接の接触による感染より頻度は少ないですが起こりえます。これを予防するためシーツや枕カバー、衣服などを60度のお湯に5分間つける、アイロンをかける、といった方法は予防手段として有効でしょう。

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