広報こしがや

2014年10月31日

№516 高血圧、自分は大丈夫だと油断していませんか?  松本クリニック 松本佳久

日本人の3分の1である約4000万人が「高血圧」であるといわれています。自覚症状がないため放置されやすく、脳卒中(脳出血・脳梗塞)、心筋梗塞、心不全など重大な病気を引き起こすことがあります。これらの病気を予防し悪化させないことが高血圧を治療する目的です。
 今年4月に、高血圧学会は高血圧治療ガイドラインを改訂し、上の値(収縮期血圧)が140㎜Hg以上、下の値(拡張期血圧)が90㎜Hg以上を高血圧としました。この数値は、将来病気になる可能性も踏まえて医師が治療を始める判断基準です。一方、同じく今年4月に人間ドック学会が発表した健康診断での新基準値についての報道がありました。血圧に関しては147/94㎜Hg までを正常とする内容で、高血圧学会の判断基準よりも緩和された数値でした。しかし、これは人間ドックを受けた人のうち健康と思われる人の血圧の分布範囲を示したもので、病気の予防のための基準値ではありませんから誤解しないようにしましょう。
 最近は、仮面高血圧(隠れ高血圧)が注目されています。診療時間に診察室で血圧測定すると正常なのに、他の時間に家庭で測ると高い場合です。仮面高血圧には①早朝型、②夜間型、③職場型の3つのタイプがあります。健診などで正常血圧の人の10~15%、薬で血圧が140/90㎜Hg未満にコントロールされている人でも約30%が仮面高血圧だといわれています。脳卒中や心筋梗塞などを起こす危険性は、仮面高血圧も診察室高血圧の人と同じくらいであることがわかっています。多量飲酒や喫煙、メタボ、睡眠時無呼吸症候群、ストレスなどは仮面高血圧を生じやすいので注意が必要です。自分の血圧は大丈夫だと過信せずに寝る前や起床後に血圧を測定してみてください。夜間や早朝の血圧は専門医で貸し出している携帯型自動血圧計(ABPM)を用いて測定することもできます。1回の血圧測定値だけで問題なしと判断するのは禁物です。

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