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2015年07月01日

№524 夏に見られる子どもの感染症(手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱)きたこしキッズクリニック 永沼 卓

夏にみられる子どもの感染症のうち、「手足口病」や「ヘルパンギーナ」や「プール熱(咽頭結膜熱)」は、一般に「夏風邪」として知られています。
 「手足口病」は、主にコクサッキーウィルスA16やエンテロウィルス71の感染が原因で、通常3~6日の潜伏期間の後、その名の通り、主に手足に発疹が出て、口の中に水疱や潰瘍ができるのが特徴で、発熱は、無いか微熱程度のことが多いと言われています。
 「ヘルパンギーナ」は、主にコクサッキーウィルスA群の感染が原因で、通常3~6日の潜伏期間の後、のどに痛みを伴う水疱や潰瘍ができるのが特徴で、急な発熱を伴うことが多いと言われています。「ヘルプ=水疱」+「アンギーナ=のどの炎症」が名前の由来とされています。
 「プール熱(咽頭結膜熱)」は、主にアデノウィルス3型の感染が原因で、通常5~7日の潜伏期間の後、その名の通り、のどの痛みなどの咽頭炎と結膜充血などの結膜炎の症状がでるのが特徴で、発熱は4~5日程度と長く続くことがあります。
 いずれの病気も、原因となるウィルスの血清型がひとつではなく、一度かかったから二度とかからないというわけではありません。咳や便などから感染しますが、「プール熱」はプール以外でも感染します。予防法は、密接な接触を避け、うがいや手洗いなどを行うことです。出席停止期間は、「手足口病」と「ヘルパンギーナ」は、特に決まりはありませんが、「プール熱」は、主要症状消退後2日を経過するまでという決まりがあります。
 いずれの病気もウィルスの感染が原因のため、主に細菌に対して作用する抗生物質は効果が期待できず、またそれぞれのウィルスに対する抗ウィルス薬もありません。そのため、安静、適度の水分補給、必要に応じて解熱薬の使用など対症療法をしながら、自然治癒を待つのが基本になります。ただし、時に、合併症などにより重い症状が出現することもあるため、その場合は、早めにかかりつけ医を受診するようにしてください。

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