広報こしがや

2015年10月13日

№527 野球肩・野球肘 はにゅう整形外科 羽生 亮

成人前のスポーツ障害で比較的頻度が高いのが野球肩と野球肘です。野球肩や野球肘は骨折やアキレス腱断裂などの突発的なケガと異なり、同じ運動動作の繰り返しや使いすぎが主な原因です。事前の予防次第で防ぐことが可能ですが、適切な治療を行わないと難治性になることも少なくありません。
 野球の投球動作は全身運動です。地面から得た力を足から骨盤、体幹へつなげ、次いで肩甲骨、そして肩、肘へ回転運動を伴いながら最後は手指からボールに力を伝達していきます。このように全身を使って効率の良い投球が出来ていれば問題ないのですが、なんらかの原因でいずれかの部位の機能が低下していれば、他の部位への負担が大きくなり、過負荷の状態となってしまいます。こうした状態で練習を続ければ、上手になるどころか負担を受けた部位は徐々に悲鳴をあげ、野球肩や野球肘となってしまいます。
 その原因として最も多いのが筋肉や関節の柔軟性の低下です。その他にも肩甲骨の位置の乱れ、背骨から骨盤までの不良姿勢、下半身や肩周りの筋力不足、関節の緩み、不良な投球フォームなどがあります。
 野球肩や野球肘の予防としてはまずは肩と肘の柔軟性をあげることはもちろんですが、体幹部や股関節、足首、手指の柔軟性も重要となってきます。体幹部や股関節の柔軟性の早期のチェック法として、立ちながらの前屈動作で手指が地面に着くか、座りながら開脚姿勢で肘が床に着くかなどでチェックし、この動作が困難であるならば柔軟性低下と言えます。しかし、練習前後や自宅でのストレッチを毎日行うことで、身体の柔軟性の向上は十分に可能です。選手にとってストレッチはどうしても地味でサボり気味となってしまいますが、ケガの予防やパフォーマンス向上にはストレッチがとても重要な役割を担っている事を選手は認識しないといけません。
 子どもが肩や肘に痛みを訴えてきた場合、すでに深刻な状況になっていることも少なくありません。痛みがなかなか治らない場合は整形外科を受診したほうが良いでしょう。

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