広報こしがや

2018年01月05日

NO.552 臓が大きいってどういうこと? 萬屋クリニック 萬屋 穣

心臓は胸の中心からやや左側にあって、人の拳大といわれます。血液を全身に送るポンプの役割をします。身体の外側から見えませんから、心臓の大きさについて言われるとしたら、病院受診、健康診断、人間ドックなどの胸のレントゲン写真(胸部X線写真)か心臓超音波検査(心エコー)を行った時でしょう。また、診察の時に胸を指先でトントン叩かれることがありますが、これでも心臓の大きさをある程度評価することができます。
 胸部X線写真をみて、心臓が大きい時は心拡大と表現します。よく心肥大と混同されますが、胸部X線写真では心肥大かどうかはわかりません。心肥大というのは、心臓の筋肉が何らかの原因で厚くなっている事です。心エコーや心臓カテーテル検査で心肥大があるかどうかを判断します。心臓カテーテル検査とは腕や足の付け根の血管に管を入れて、心臓まで到達させます。管に造影剤を流して心臓の中や血管をX線で写真を撮る検査です。 胸部X線写真で心拡大と判断するには基準があります。イメージしにくいかもしれませんが、心臓の左右の幅が、胸の左右の幅の50%を超えている場合をいいます。機会があれば測定のしかたを医師に聞いてみてください。心エコーやカテーテル検査も機械で測定できるため、心臓の大きさを知ることができます。
 心拡大は、先にも述べた心肥大を起こして大きくなる場合、逆に心臓の筋肉が薄くなって大きくなる場合、心臓の外側に薄い膜があるのですが、その膜に血液や血しょう成分などが溜まって大きくなる場合が考えられます。
 心肥大の原因としては、高血圧症、心筋症、生まれ持ったもの(先天性)、心臓の中にある弁の異常(弁膜症)、筋ジストロフィー、甲状腺疾患などがあります。
 心臓の筋肉が薄くなる原因としては、高血圧症、心筋梗塞、不整脈、心筋症、先天性、弁膜症、心膜筋炎などがあります。
 心臓の周りの膜に溜まってくる病気の原因としては、心筋梗塞、心膜心筋炎、甲状腺疾患、低栄養、心臓腫瘍などがあります。
 心臓が大きくなる原因はこのように色々あります。もし「心臓が大きいね」と言われたら専門医にご相談ください。

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