広報こしがや

2018年01月05日

NO.553 急性膀胱炎 いいやま泌尿器科 飯山 徹郎

膀胱炎と言いましても何種類もありますが、一般的に膀胱炎と言うと「急性単純性膀胱炎」のことを指します(長いので以後、急性膀胱炎と記載します)。 
 単純性というのは他に尿路系の病気が無い健康な人がなることを意味し、膀胱結石、膀胱腫瘍、神経因性膀胱等の基礎疾患がある人が膀胱炎になった場合「複雑性膀胱炎」と呼ばれ、治りにくかったり、慢性化することが多いです。
 急性膀胱炎は膀胱の中に細菌が入り込み膀胱粘膜に炎症を起こす病気で、圧倒的に女性に多い病気です。これは男女の体の構造の違いによるもので、女性は肛門、膣、尿道口(尿の出口)が近く、尿道も3~5センチと短いので、大便の中や膣の細菌が尿道口から膀胱の中に侵入しやすいのが原因です。男性は尿道口と肛門が離れており尿道も20㌢前後と長いので、健康な男性は急性膀胱炎になることはほとんどありません。
 世間ではよく「冷やしたから」「排尿を我慢したから」膀胱炎になるなどと言われていますがあまり関係なく、女性は体の構造からなるときにはなってしまう病気です。性交後になりやすい、下痢するとなるなど特定の条件下でなりやすい人もいますが誰もがなるわけではありません。
 症状としては排尿するときの痛み、残尿感、血尿、拭いた紙に血がつく、頻尿などが主症状で急性膀胱炎だけで38度以上の高熱が出ることはありません。
 治療は細菌による病気ですので抗生剤の投与となります。水分を多くとり尿量を増やし膀胱内の細菌を積極的に体外に排出することも大切です。
 抗生剤を飲まなくても治ってしまうこともある病気ですが、抗生剤ですぐ良くなることが多く、膀胱内の細菌が腎臓に行ってしまうと腎盂腎炎となり入院となってしまうこともありますので、早めの受診をおすすめします。
 診断は尿検査で白血球(うみ)の有無を調べます。専門は泌尿器科ですがお近くにない場合は内科や婦人科でも対応可能です。治りにくかったり、短期間で繰り返す場合は泌尿器科への受診をおすすめします。尿検査は必須ですので尿をためての受診をお願いします。

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