広報こしがや

2018年06月04日

NO.559 大人のADHDについて 南越谷メンタルクリニック 飯島 毅

最近、新聞や書店、NHKなどマスコミをにぎわしている発達障害についてお話します。         発達障害には、コミュニケーションが苦手という特徴をもつ自閉スペクトラム症(ASD)、字が書けない・読めない、簡単な計算ができない等の問題をかかえた学習症(LD)、それに注意欠如多動症(ADHD)という症状(障害)の総称です。発達障害は、程度の重い人から軽い人までさまざまな人がおり、同じ診断がついていても症状はさまざまです。最近ではADHDやASD単独ではなくASDとADHD両方の傾向がある人が多いのではないか、と考えられてきているようです。そもそもADHDとASDを区別することが難しい人が多いのも事実です。  子どものころから落ち着きがなく怪我ばかり。学校では遅刻や忘れ物が多くて、先生が言っていることがわからず注意されてばかり。大人になっても仕事のミスが多く、要領も悪く、上司から何度も注意される。会議では肝心なことを聞き漏らして失敗する。真面目に頑張っているのに「怠け」などと言われる。また、料理をしているときに電話がかかってくると、つい料理していることを忘れて鍋を焦がしてしまう。頑張っているのだけれど部屋が片づかない。買い物に行くと買い忘れがあってまたスーパーに買いに行かなければならない。メモしたのに、そのメモがどこにあるのかわからない。「軽率」程度なら笑って済ませるけど情けなくなる。  これらのことがあるからといって、必ずしもADHDであるというわけではありません。またADHDの傾向があっても、みずから工夫をしてうまく職場や家庭に適応している人もいます。例えば、常に予定表やノートを持ち歩き、必要なことは必ず記入するという工夫で約束忘れが減るかもしれません。整理したばかりの部屋の写真を撮っておき、散らかったときにその写真を参考に片づけてみるのもよいでしょう。複数の作業を同時にこなすことが難しければ、1つの作業を終えてから新しい作業に取りかかるようにすると作業の抜けが減るかもしれません。こういった工夫には周りの理解と協力が必要です。焦らずゆっくりと対処していきましょう。

 

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