広報こしがや

2018年11月29日

No.562 「肺がんを予防するには」 山口醫院 山口文平

現在日本人は、生涯で、2人に1人は何らかのがんにかかるといわれています。がんに絶対にならない方法は残念ながらありませんが、なりにくくする(予防する)ことはできます。
2013年の国立がん研究センターの統計では、生涯で肺がんにかかる確率は、男性では10人に1人、女性では21人に1人となっています。これは肺がんが全がんのうち、男性だと胃がんに次いで第2位、女性だと乳がん、大腸がん、胃がんに次いで第4位ということです。
同センター発行の「科学的根拠に基づくがん予防」では、男性は55・3%、女性は27・8%が、生活習慣や感染が何らかのがんにかかる原因になっていたという研究結果が示されています。この結果から、「禁煙」「節酒」「正しい食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの健康習慣を実践すれば、男性で43%のリスク低下、女性で37%のリスク低下が期待できるとしています。この中で、「禁煙」と「正しい食生活」が肺がんとの関わりが深いことが示されています。
肺がんの最大のリスク要因は、喫煙習慣です。日本人を対象とした研究(2008年)では、喫煙者の肺がんリスクは男性で4・8倍、女性で3・9倍でした。また、自分がたばこを吸わなくても受動喫煙で肺がん(特に腺がんタイプ)のリスクは高くなります。吸っている人は禁煙し、吸わない人は副流煙をなるべく避けて生活しましょう。
野菜と果物を摂取することは、肺がんのリスクを低くすることが期待されています。これは、世界がん基金が2007年にカロテノイドを含む食品が肺がんを予防すると報告したことに基づいています。カロテノイドは、にんじん、ほうれん草などの緑黄色野菜や、かんきつ類、スイカなどの果物に多く含まれます。ただし、喫煙者がサプリメントなどで高用量のβ‐カロテンを摂取すると、かえって肺がんのリスクは高まるとされ、注意が必要です。
肺がんは喫煙との関連がとても強いため、野菜と果物の摂取がどれだけ肺がんのリスクを低下させるか明確な結論は出ていません。しかし、脳卒中や心筋梗塞をはじめとする生活習慣病の予防にもつながるので、意識して毎日とるようにしましょう。

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