広報こしがや

2019年01月18日

NO.565 手術について 埼玉東部循環器病院 田中良昭

美しくなりたいと美容形成外科にかかる人、白内障で目が見えなくなってきて眼科にかかる人等は自分で手術を希望して病院に来るかもしれません。それでも手術となると怖いもので、思い悩んだ末に一大決心をして病院に来るに違いありません。しかし、多くの場合は医者から「手術が必要です」と言われて受けると思います。
これほど科学が発達した現代でも手術でなければ治すことができない病気がまだたくさんあります。手術手技や麻酔は日々進歩し、昔より安全になってきていますが、予期しないことが起こり、不幸な結果になることがあるのも事実です。確率から言えば、成功率の方がはるかに高いのですが、100%安全ではないという点が難しいところです。
では、手術が必要な病気を放置したらどうなるのでしょうか。私たちが日常治療している病気について述べます。
【動脈りゅうの場合】
動脈りゅうとは動脈のこぶです。破裂しない限り症状はほとんどありません。症状が無いからこそ怖い病気でもあるのです。通常、エコー検査やレントゲン写真を撮ったら偶然見つかったというケースがほとんどです。
動脈りゅうは大きくなれば破裂します。おなかの動脈りゅうは4・5センチ~5センチ、胸部は5・5センチ~6センチを超える大きさであれば、時限爆弾にスイッチが入ったと思ってください。いつ破裂するかは神のみぞ知るという大きさです。破裂して放置すれば100%助かりません。破裂する前に手術をするべきです。薬で治る病気ではありませんので、必ず外科医に診てもらってください。
【心臓弁膜症の場合】
心臓弁膜症も薬で治る病気ではありません。薬で症状を和らげることはできますが、弁膜症自体は徐々に進行する手術でしか治せない病気です。
弁の不具合により心臓に負担がかかったままになると心臓に変化が起こり、不整脈が出たり心不全を繰り返したりします。
【狭心症や心筋梗塞の場合】
最近ではカテーテル治療が発達し、多くのケースでカテーテル治療が可能となってきました。
しかし、手術をした方がカテーテル治療をするよりも寿命が長くなることが証明されている病変もあります。複雑な病変にもかかわらず、「カテーテルで治療すれば切らずに治せる」という言葉で何回も入退院を繰り返している人はいませんか?
いずれの場合でも、よく医者に説明を聞いて、納得したうえで治療されることが大事です。

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