広報こしがや

2019年04月24日

NO.569 おしっこの話   越谷泌尿器科・内科   向山剛生

皆さんは普段から「おしっこ」を気にして見ているでしょうか? ふだん何気なくしているおしっこですが、そこには健康の指標となる情報があります。例えば色や臭い、回数や量などです。今回はその中でおしっこの量(尿量)についてお話しします。
基本的に健康な成人であれば、1日の尿量は1500ミリリットル程度といわれています。1日に7・8回するとすれば1回に200ミリリットル程度(缶コーヒー1本分)の尿が出ることになります。人は尿以外に汗や呼吸・腸液などからも水分が体の外に排出されます。そこで1日に必要な水分量は1日の尿量である1500ミリリットル以外にさらに1000ミリリットル程度必要といわれています。よって1日の必要水分量は2500ミリリットル程度になります。ご飯やお味噌汁など食事にも水分は含まれているため、食事以外の必要水分量としては2000ミリリットル程度となり、ちょうど2リットルのペットボトル1本分です。
1日の尿量が3000ミリリットル以上と多い場合は「多尿」といいます。これの原因としては飲酒や水分を多く取り過ぎている場合以外に、糖尿病や慢性腎不全の初期、尿崩症といわれるような病気の可能性もあります。尿量以外に1日に10回以上おしっこをする場合を「頻尿」といいます。頻尿の原因には多尿以外に膀胱機能に異常がある場合があります。
逆に1日の尿量が400ミリリットル以下と少ない場合は「乏尿」、さらに少なく1日に100ミリリットル以下になると「無尿」といいます。これらの原因としては水分摂取量の低下や下痢、嘔吐、高熱などによる脱水が一般的ですが、尿を作る臓器である腎臓の病気であったりもします。また尿の通り道である尿管や尿道、膀胱、男性であれば前立腺などの病気によって塞がれている場合や、排尿する機能が低下して排出できないことを「尿閉」といいます。これらの原因としてがんの可能性もあるので注意が必要です。
このように尿量を見ているだけでも、さまざまな病気の指標となる情報が分かる可能性があります。ふだんからおしっこを少し気にしてみると良いと思います。また市など自治体や会社等での定期健診では、血液検査以外に尿検査も含まれているため、年に1回程度の定期健診の受診をおすすめします。

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