広報こしがや

2019年12月06日

NO.575 整形外科の先進医療~再生医療PRP療法とは~ 羽生整形外科  羽生 亮

治りづらい膝の痛みやスポーツ障がいなどにも効く再生医療の治療があることをご存知でしょうか?
 再生医療の1つであるPRP治療は、これまで歯科や形成外科などの分野を中心に用いられてきましたが、最近では整形外科分野の治療の1つとしても注目されつつあります。
 すでに、海外では、10年以上の実績があり、早期復帰が必要なプロアスリートや、重要な試合を控えたトップアスリート、スポーツ愛好家の方などを対象に広く行われてきました。PRP治療は、まず自分の血液を採血し、遠心分離を行います。そして、その血液の中に含まれている血小板血漿(成長因子を多く含み傷ついた組織の修復や再生する働きのある成分)を取り出し患部に注入することで、自分が持っている修復力を高め、早期回復や疼痛軽減を目指す治療法です。自分の血液を利用するため副作用が極めて少なく、手術に比べると患者さんの身体的負担が大幅に軽減されます。
 また、急性期や慢性期など、どのタイミングでもPRP治療を受けることができるだけでなく、治療後は翌日から通常通りの生活を送ることが可能です。
 一方、課題としては現在のところ、PRP治療は自費診療であり、患者さんの金銭的負担が保険診療に比べて大きいことや、患者さんの年齢、損傷や変形の程度などによって効果に個人差があることが挙げられます。
 最近では、PRP治療の中でも炎症を抑えられる効果をさらに高めた濃縮PRP(APS)も開発されています。患者さんの症状や病態に合わせて使い分けしていくことで、より最適な治療を提供していくことが可能となってきました。
 整形外科疾患では、患者さんの病態や症状に応じて手術を選択するケースがありますが、その前に新しい治療法としてPRP治療を選択してみるのも1つではないでしょうか。

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