広報こしがや

2020年05月28日

NO.580 大腸内視鏡検査について 吉村胃腸科クリニック 吉村美保

 皆さんは大腸の検査を受けたことがありますか。大腸がん検診で行う便潜血検査は、便に血液が混じっているか(潜血反応)をみるものです。直接大腸の中を観察しているわけではありませんので、本来は腫瘍があるのに、ないと判断されてしまうことがあります。では、どんな検査を受けると、直接大腸の中を観察できるのでしょうか。今回は大腸内視鏡検査を紹介します。
 検査をするために下剤(経口腸管洗浄液)を内服していただき、肛門より内視鏡を挿入し、大腸を観察します。がんやポリープ、粘膜の炎症があった場合、検査に引き続き、必要に応じて生検(細胞をとり病理検査をすること)や、ポリープを切除することができます。これは注腸検査(バリウム検査)や大腸CT(大腸の3D―CT)と比較したときの利点です。ただし、ポリープの大きさや形態、また定期的に内服されているお薬の内容によっては日を改めたり、別の方法での治療が必要となることがあります。また、腸に癒着がある場合は内視鏡検査が困難なこともあります。そのような場合はまずは他の検査で評価した上で、内視鏡について検討していただくとよいと思います。
 切除したポリープを調べると、実は早い段階のがんであったり、前がん病変であったということがあります。一方、小さなポリープの段階では自覚症状がなく、便潜血検査も陽性にならないこともあります。冒頭でも述べましたが、実際、便潜血検査では、本来は腫瘍があるのに、ないと判断されてしまうこと(偽陰性)が30%ほどあります。故に、陰性であったからと言って、がんがないと言い切れるものではありません。
 大腸がんは増加傾向で、男性では11人に1人、女性では14人に1人が大腸がんと診断されています。内視鏡検査を受けてみないと実際に病変があるかどうかはわからないのが現状です。何か気になることがある場合は一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。まずはお近くの医療機関へ相談してみてください。

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