広報こしがや

2020年11月10日

NO.588 血圧の変動 おおさとファミリークリニック 鈴木一隆

健康診断や病院で血圧を測定するとふだんよりも血圧が高くなる経験をされた方も多いのではないでしょうか。診察室で測定した血圧が高血圧でも、診察室以外の場面では高くない状態があります。この状態を白衣高血圧と言います。白衣に対するストレスや病院といった非日常空間に対する緊張が影響しているものと思われます。白衣高血圧は診察室血圧で高血圧と診断された人の15%~30%に認められると言われ、その割合は高齢者で増加する傾向があります。
 一方で、診察室での血圧は高くなくても、診察室以外の場面では高血圧を示す状態があります。この状態を仮面高血圧と言います。仮面高血圧は高血圧と診断されていない人の10%~15%に見られると言われ、上がる時間帯によって早朝高血圧、昼間高血圧、夜間高血圧といった病態を示します。仮面高血圧を認める人は喫煙者、アルコール多飲者、肥満や糖尿病の人、精神的ストレスが多い人などに多い傾向があります。
 このように血圧は、ストレス、緊張、睡眠不足、疲労、気温、室温などの影響を受けます。気温による影響だと、一般的に気温の上昇は血圧が下がる傾向になり、気温の低下は血圧が上がる傾向になります。そのため夏には低めで安定していた血圧が、冬になると高めで不安定になることがあります。
 室温による影響が出やすい場面が冬の入浴時になります。入浴で温まった体で寒い脱衣所に出た時などに寒暖差で急に血圧が上昇し、心血管系の病気を起こすこともあるヒートショックと言われる現象もあります。入浴時のヒートショックを予防するためには、風呂場の床にスノコやマットを敷いておく、シャワーで浴室全体を暖めておく、湯船にお湯がたまっている場合には入浴前にふたを開けておくなどがあります。
 これから寒くなる季節ですので血圧を含め、体調管理に十分ご留意ください。

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