広報こしがや

2021年03月11日

NO.591 心房細動について 越谷津田医院 津田達広 

  11月10日まで行われた越谷市特定健診、結果はいかがでしたか。心電図において指摘はありませんでしたか。必ず専門的対応を受けなければいけないものがいくつかあります。その一つが心房細動という不整脈です。心房という心臓の部屋において電気的興奮が起こり、不規則な心収縮を呈します。その結果心房内の血流がよどみ、血栓を形成することがあります。
 頻度は比較的高く、高齢者の十人に一人がり患すると言われ、著名な政治家やスポーツ選手も発症したことが知られています。高血圧、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、弁膜症、甲状腺疾患、過労、ストレス、脱水等で発症しやすくなります。主な症状としてどうきや労作時の息切れなどが挙げられますが無症状のこともあり、健診で初めて気付かれる方も多いように思われます。心房細動そのもので命に関わることはまずありませんが、脳梗塞などの塞栓症や心不全といった重篤な疾患を形成するため注意が必要です。
 塞栓症予防のため抗凝固薬等いわゆる血をサラサラにする薬の服用が基本的に不可欠です。頻脈を伴う場合、心拍を抑える薬も併用します。根治術としてアブレーション治療があります。カテーテルを心臓まで挿入し心房細動の原因となっている部位で高周波電流を流したり、冷凍凝固したりして焼灼する方法です。3次元の画像をもとに治療をすすめるカルトシステムなど技術の進歩もあり、治療成績が非常に良くなっています。越谷市には優れた専門加療施設があります。
 心房細動は放置してはいけません。指摘のあった方は必ずかかりつけの先生にご相談ください。心電図で指摘のない場合でも胸部症状をふだん自覚されている方の中には、一時的に心房細動を生じる発作性心房細動であるケースがあります。少し体を動かすだけで急に脈が速くなる方(1分間に120回程度以上)は要注意です。ご不安な方は、ホルター心電図(24時間心電図)等で調べてもらいましょう。

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