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2021年05月19日

NO.593 舌下免疫療法ってなんですか? 中川耳鼻咽喉科 中川美紀

 スギ花粉・ダニアレルギー性鼻炎の治療法の一つにアレルゲン免疫療法があります。アレルゲン免疫療法は、100年以上前から行われている治療法です。アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげます。今まではアレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」でしたが、近年治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。この「舌下免疫療法」はスギまたはダニアレルギー性鼻炎と診断された患者様のみ治療を受けることができます。
 服用の期間は、1日1回、少量からはじめ、その後3年から5年継続します。1日目の服用は医療機関で行い、2日目からは自宅で服用します。口の中で保持した後、飲み込み、その後5分間はうがい・飲食を控えます。また2時間は激しい運動やアルコールの摂取、入浴は避けたほうがよいでしょう。5歳から適応になります。スギ舌下免疫療法は6月から12月までに始めます。期待できる効果は、アレルギー症状を軽減したり、長期にわたり症状を抑えることです。約7割の患者様が薬を減らすことができます。舌下免疫療法は始めたら数日で効果の出るような治療ではありません。
 効果が出るまでには2~3か月かかります。症状を抑え込む治療法ではなく、体質を改善する治療です。効果だけではなく副作用が出る場合もあることを、ご承知ください。 副作用は、口内炎や口の中の腫れ、かゆみが多いです。しかし抗アレルギー剤を併用することで多くの方が1か月以内にはこれらの症状が落ち着いてきます。重大な副作用には、アナフィラキシーがあります。
 この治療ができない方・注意が必要な方は、重症のぜんそくを合併している方、重い心疾患の方、がんの治療をしている方、免疫抑制剤を服用されている方などです。スギ花粉やダニアレルギー鼻炎で抗アレルギー薬を長期に飲むことが気になる方、受験期がスギ花粉の時期に重なるので少しでも良くしておきたい方、眠気など薬の副作用がある方などは是非、かかりつけの先生に相談してみてください。

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