広報こしがや

2021年05月19日

NO.594 前立腺がん検診のすすめ ふじおかクリニック 藤岡正志

 越谷市では、今年も前立腺がん検診を実施いたします。6月1日から11月10日までの期間で、各医療機関で実施しています。50歳・55歳・60歳・65歳・70歳・75歳の市内在住の男性、およびこの年齢ではなくても、これまで越谷市の前立腺がん検診を未受診の50歳から75歳までの男性市民は受診することができます。採血をしてPSA(前立腺がんのマーカー)を調べます。1回の採血で済むように、特定健診との同時受診をお勧めいたします。
 前立腺は男性のみにある臓器です。膀胱の下に位置し、尿道のまわりを取り囲んでおり、栗の実のような形をしています。前立腺では精液の一部に含まれる前立腺液をつくっています。前立腺液には、PSAというタンパク質が含まれています。ほとんどのPSAは前立腺から精液中に分泌されますが、ごく一部は血液中に取り込まれます。前立腺がんでは血液中のPSAがほとんどの場合上昇します。またPSAは前立腺がんだけではなく前立腺炎や前立腺肥大症でも上昇することがあります。
 前立腺がんと新たに診断される人数は日本で1年間に約9万人です。年齢別にみた罹患率は、50歳ごろから高くなりはじめ、60歳ごろから高齢になるにつれて顕著に高くなります。前立腺がんのリスクを高める要因として、前立腺がんの家族歴、高年齢が明らかとなっています(国立がん研究センターホームページより引用)。
 越谷市の前立腺がん検診では、70歳が受診者数、がん発見者数ともに最多で年齢が若くなるにつれて受診者数が減少する傾向があります。人間ドックや泌尿器科に通院されていて、PSA検査を1年以内に受けている方を除けば、前立腺がん検診の受診をすすめます。特にPSA検査を一度も受けたことのない方、前立腺がんの血縁者がおられる方は受診を強くすすめます。
 受診を迷っている方は医療機関で特定健診を受診の際、担当医師に相談してみてください。多くの方が検診を受けることで前立腺がんを早期発見し、適切な治療により前立腺がんで亡くなる方が一人でも少なくなることを願っております。

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