広報こしがや

2021年07月14日

NO.596 胃がん検診をうけませんか? けやきクリニック 会田邦晴

 令和元年(2019年)人口動態統計による死亡原因では悪性新生物(腫瘍)が第1位となっています。その中で胃がんは男性2位、女性4位と上位に位置しています。胃がんは発見が遅れれば手術適応外や、手術ができても根治に至らないという可能性があります。
 昔、胃がんの手術は腹部に大きな切開を加えて胃切除を行うしかありませんでした。その後、数カ所に小さな切開を加えて内視鏡を挿入し、モニターを見ながら行う腹腔鏡下手術が行われるようになり患者さんの体への負担が軽減できるようになりました。
 また、現在では内視鏡技術の進歩により早期に発見された胃がんは胃内視鏡にてがん組織を切除することが可能になりました。これによって手術による体の負担や術後の癒着性腸閉塞などの合併症もなくなりました。内視鏡的切除による合併症としては出血や胃穿孔などですがまれです。
 胃がんを早期に発見するためには症状のないうちに発見する必要があり、そのために胃がん検診を受けられることを勧めます。
 越谷市の胃がん検診では上部消化管造影または胃内視鏡検査を行っています。胃内視鏡検査は最近では従来の経口に比べて嘔吐反射の少ない経鼻胃内視鏡検査もあります。
 胃がん検診の対象は市内在住の40歳以上の方です。また年度年齢が40歳・45歳・50歳・55歳・60歳・65歳・70歳・75歳の方はさらに血液検査でペプシノーゲン、ヘリコバクターピロリ菌抗体検査の対象になっています。ペプシノーゲンは胃粘膜の萎縮を評価する検査で萎縮が高度であれば胃がんの発生率が高くなります。ヘリコバクターピロリ菌は胃粘膜で生存できる細菌で、胃がんのほか、胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、特発性血小板減少症などとの関連性が指摘されています。そのため、ヘリコバクターピロリ菌に感染した場合は内服薬にて除菌することを勧めます。
 胃がんを早期に発見することにより内視鏡的に切除できる時代です。そのためにも胃がん検診を受けてみてはいかがでしょうか?

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