広報こしがや

2021年10月05日

NO.599 スマートホンと眼 新越谷アイクリニック 中村昌弘

 最近の10年間でスマートフォン(以下スマホ)が急速に普及しました。また、利用時間も年を追うごとに長くなっており、10歳~50歳代の50%以上の人が1日3時間以上利用しており、特に10歳・20歳代では3時間以上の利用が70%以上と年代が下がるにつれて利用時間が長くなっているようです。
 実際に、街では特に電車内などでスマホをずっと見続けている人を多く見かけます。長時間スマホを見続けていると、眼はさまざまな影響を受けることになります。
・ドライアイ:画面を真剣に見ていると、人間は自然にまばたきが少なくなり、涙が分泌されずドライアイになりやすくなります。スマホ使用時はまばたきを意識する。ドライアイ点眼液の使用で改善します。
・スマホ老眼:若い人はスマホを近距離(20~30cm)で見がちになります。長時間見続けると、水晶体(レンズ)の周りについている毛様体という筋肉が凝り固まって調節(ピントを合わせる)がしづらくなります。一般的な老眼は水晶体自体が加齢(40歳くらいから)によって硬くなることによって、レンズの厚さを自由に変えることができず調節することができなくなり、治りません。しかし、スマホ老眼は筋肉の凝りなので、スマホ利用時間を短くし、遠くを見て筋肉を休めることなどで改善されます。
・子どもへの影響:2019年、WHO(世界保健機関)から小児の健康な成長に関するガイドラインが発表され、「1歳未満ではスクリーンタイムは推奨されない。1歳~4歳でのスクリーンタイムは、1日1時間未満」と提言されています。このスクリーンタイムとは、スマホを含め、テレビ、ビデオ、ゲーム機器を見続けることを意味します。近年、子どもへのスマホ等の影響については、近視化、後天性内斜視などの報告もあります。
 これらの自覚症状は、目が疲れる、奥が痛い、しょぼしょぼする、涙が出る、眩しい、かすむ、充血する、まぶたが重い、けいれんする、頭痛がする、めまいがする、吐き気がする、肩凝りがあるなどさまざまです。スマホを長時間利用し、何となく不調を感じている場合は早めの眼科受診をお勧めします。

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