広報こしがや

2021年12月24日

NO.601 コロナ太りとコレステロール 越谷駅前クリニック 永松 仁

 コロナ禍による長引くステイホームやリモートワークで自宅時間が長くなり、活動量が減り、“コロナ太り”している方も多いようです。
 例えば自宅から職場まで往復2時間かけて通勤する方は、最寄り駅まで徒歩または自転車、駅では階段利用、電車内で立つとすると1日約300kcal消費します。これに昼食休憩を含めた職場内での移動を足すと400kcalを超えます。一方、自宅内のみの活動ではおよそ50kcalとなり、その差は350kcal、これが週に5日、4週間で7,000kcalものエネルギー消費不足になり1カ月に1kg体重が増加する計算になります。自宅では間食を食べる機会が増える傾向にあり、さらに0.5kg~1.5kg増え、1カ月で計2kg~3kgも増量する可能性があります。
 この“コロナ太り”が動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞の危険を高めることにつながります。実際、コロナ太りのためか脂質の数値が悪くなっている方も見受けられます。
 中性脂肪が高いこと、LDL(悪玉コレステロール)が高いこと、HDL(善玉コレステロール)が低いことのいずれか1つでも当てはまれば「脂質異常症」と呼ばれます。初期には自覚症状はありませんが、放置していると、気が付かないうちに血管の壁に余分な脂肪がこびりつき、ドロドロの粥状のかたまり“プラーク”ができます。すると血管は硬く弾力がなくなる動脈硬化の状態になり、もろく、詰まりやすくなります。さらに、プラークが破れると、そこに血栓ができます。血栓が、血管を塞ぐと血流が止まり、その先の組織や臓器は死んでしまいます。脳の血管が詰まれば脳梗塞、心臓の血管が詰まれば心筋梗塞になります。そのような大事に至るまで症状が出ませんから、健診で見つけ早期に対処することが大切になります。
 現在、LDLコレステロールはコレステロールの数値、年齢、性別、喫煙の有無、糖尿病の有無、家族歴などから目標値が決められます。健診で受診を勧められた方は内科を受診し、相談することをお勧めします。

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