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2022年04月11日

NO.605 その肩の痛み、五十肩? えのもと整形外科クリニック 榎本光宏

 肩が痛くて動かない。寝ている時にしんしん痛む。まっすぐに腕を上げることができないし、背中も触れない。レントゲンで問題ないから五十肩(肩関節周囲炎)って言われたんだけど、私もう65歳なのよ。
 その肩、正式な病名は「凍結肩」といいます。関節の袋が小さく縮んでしまい、肩の動きが制限されている状態です。
 エコーやMRIで、肩の周りの腱が断裂していないことを確認する必要がありますが、前方に90度も上げられないし、ズボンの後ろポケットが触れない、ふと肩を動かすとズキンと痛む等があれば、それは凍結肩の典型的な症状です。
 どのように対処すればよいのでしょうか。一般的に3カ月ほどの急性期を経て、関節の動きが制限されていきます。この時期に粗暴なマッサージや不適切なリハビリをすることで悪化してしまうケースも少なくありません。炎症を抑えるため適切な薬物療法を受けることは必要なことです。
 投薬に頼りたくなければ背中や股関節などの痛みを伴わない部位のストレッチから始めるとよいでしょう。夜間の痛みに関しては、就寝前のストレッチや、ひじの下に枕を置いたり、抱き枕を抱えたりすることがよいようです。
 数カ月過ぎると、可動域の制限は残りますが、安静時の痛みが緩和してきます。ここからは理学療法士と共に行う運動療法が中心になります。まずは背伸びや開脚、ごく軽いジョギングなどの肩と直接関係のなさそうな全身運動から始めてください。体を温めてから反対側の手で患側の手を引き上げたり、背部に腕を回して押し上げてみたり、壁の高い所を触ってみたりする事もよいでしょう。
 保存療法で十分な効果が得られない場合、手術や首からのブロック麻酔下に徒手的に腕を動かしていき関節の袋を破く手技が行われる事もありますが、再発や手技後の関節脱臼なども報告されています。
 基本的には自然によくなる病態ですので、焦ることなくお近くの整形外科を受診してみてください。
 ウォーキング前後の開脚や背中のストレッチなどがお勧めです。

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