NO.649 心房細動と脳梗塞について かえでハートクリニック 小松禎子
先日、長嶋茂雄さんご逝去の報に接し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。名選手・名監督として多くの人々に夢と希望を与え続けた長嶋さんですが、2004年に脳梗塞を発症されたことは、多くの方の記憶に残っていることでしょう。突然の病はご本人にとってもご家族にとっても大きな出来事であり、同時に私たちに健康の大切さを改めて考えるきっかけとなりました。
脳梗塞とは、脳の血管が血の塊(血栓)で詰まり、血液が届かなくなった脳の細胞が障害を受ける病気です。その大きな原因の1つに「心房細動」という不整脈があります。心房細動では心臓のリズムが乱れ、心房の中に血液がよどんでしまいます。その結果、血栓ができやすくなり、これが血流に乗って脳の血管を詰まらせると脳梗塞を引き起こすのです。心房細動のある方は、ない方に比べて脳梗塞を発症する危険が約5倍に高まるとされます。しかもこのタイプの脳梗塞は重症化しやすく、命に関わったり、まひなどの後遺症が残ることも少なくありません。そのような心房細動は年齢とともに罹患率が上昇し、40歳代で0.5%以下ですが、60歳代で約2%、80歳代では8%に達すると言われています。したがって、早期発見と早期治療が重要です。
予防で最も大切なのは、血液を固まりにくくする「抗凝固薬」の内服です。これにより血栓ができにくくなり、脳梗塞の危険性を大きく減らすことができます。加えて、脈を整える薬やカテーテル治療による根本的な治療も進んでいます。さらに近年では、Apple Watchなどのウェアラブル機器が心房細動を検知する例も増えており、早期発見の助けとなっています。
心房細動は自覚症状が乏しいまま進行することも少なくありません。動悸や息切れ、脈の不規則さを感じたときには「年のせい」と思わず、早めに循環器内科を受診してください。長嶋さんのご生涯をしのびつつ、私たちも心房細動と脳梗塞の関わりを知り、日々の健康管理に役立てていただければ幸いです。
脳梗塞とは、脳の血管が血の塊(血栓)で詰まり、血液が届かなくなった脳の細胞が障害を受ける病気です。その大きな原因の1つに「心房細動」という不整脈があります。心房細動では心臓のリズムが乱れ、心房の中に血液がよどんでしまいます。その結果、血栓ができやすくなり、これが血流に乗って脳の血管を詰まらせると脳梗塞を引き起こすのです。心房細動のある方は、ない方に比べて脳梗塞を発症する危険が約5倍に高まるとされます。しかもこのタイプの脳梗塞は重症化しやすく、命に関わったり、まひなどの後遺症が残ることも少なくありません。そのような心房細動は年齢とともに罹患率が上昇し、40歳代で0.5%以下ですが、60歳代で約2%、80歳代では8%に達すると言われています。したがって、早期発見と早期治療が重要です。
予防で最も大切なのは、血液を固まりにくくする「抗凝固薬」の内服です。これにより血栓ができにくくなり、脳梗塞の危険性を大きく減らすことができます。加えて、脈を整える薬やカテーテル治療による根本的な治療も進んでいます。さらに近年では、Apple Watchなどのウェアラブル機器が心房細動を検知する例も増えており、早期発見の助けとなっています。
心房細動は自覚症状が乏しいまま進行することも少なくありません。動悸や息切れ、脈の不規則さを感じたときには「年のせい」と思わず、早めに循環器内科を受診してください。長嶋さんのご生涯をしのびつつ、私たちも心房細動と脳梗塞の関わりを知り、日々の健康管理に役立てていただければ幸いです。