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NO.652 日本は子宮頸がんを撲滅できる国になれるでしょうか?  きたこしキッズクリニック  永沼 卓

 HPVワクチンって、知っていますか?
 子宮頸がんの発症に関与しているヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンのことです。HPVは、一般に性行為によって感染するため、初回の性行為までにHPVワクチンを接種するのが効果的で、日本では、小学6年生から高校1年生相当の女児が定期接種となっています。2006年に欧米で接種が開始されてから、今年で20年になりますが、長年の調査により、子宮頸がんそのものも予防する効果があることがわかってきました。
 子宮頸がんを撲滅できる国が現れるかもしれないこと、ご存じですか?
 世界保健機関(WHO)は、子宮頸がんの撲滅(10万人当たり4人未満の発症)のためには、HPVワクチン接種、質の高い検診、適切な治療の3つが重要で、ワクチンに関しては、15歳までに90%の女児がHPVワクチンを接種することを目標としていて、現在、世界では、149もの国や地域で、女児の定期接種になっています。
 オーストラリアは、2007年からHPVワクチンを女児の定期接種とし、接種率は86%(2023年)で、2035年を、子宮頸がんを撲滅する目標の年にしています。イギリスは、2008年から女児の定期接種とし、接種率は80%(2023年)で、2040年を、子宮頸がん撲滅の目標年にしています。
 日本は、2022年から積極的勧奨が再開されていますが、接種率は、いまだ30%前後と、90%の目標には遠く及ばない状況で、子宮頸がんで亡くなる女性は、毎年約3,000人もいて、徐々に増加しています。将来的に、子宮頸がんを撲滅できる国になるためには、小学6年生になるまでに、子宮頸がんとHPVワクチンについて、最新の正しい情報を知ってもらうことがとても大事です。
 HPVワクチンは、女性だけのワクチンだと、思っていませんか?
 実は、男性にも生じる肛門がんなどもHPVが関与していることや、集団免疫による女性への感染予防を期待して、世界では、81もの国や地域が、男女とも定期接種となっているため、日本でも、男児への定期接種化に向けての検討が始まっています。