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NO.655 こどもの近視について、知っておきたい大切なこと なんこし眼科・ペインクリニック 山田裕一

 学校の視力検査をきっかけに、こどもの近視について考え始める保護者の方は多いと思います。近視というと、「眼鏡をかければ日常生活は問題ない」「成長の過程で仕方のないもの」と受け止められがちです。確かに、視力を矯正すれば見え方は改善し、ふだんの生活に大きな支障が出ることは少なくなります。
 一方で、こどもの近視には成長期特有の特徴があります。成長期には体の発育とともに目も変化しやすく、目の奥行きである眼軸が伸びることで、近視が少しずつ進行していきます。この眼軸の伸びが大きくなるほど、将来、網膜剥離(もうまくはくり)や緑内障、近視性黄斑(おうはん)症などの目の病気が起こりやすくなることが分かってきました。そのため近年では、こどもの近視を単なる視力低下としてではなく、「将来の目の健康にも関わる状態」として捉える考え方が広がっています。
 近視が増えている背景には、屋外で過ごす時間の減少や、スマートフォンやタブレットなど近くを見る時間の増加といった生活環境の変化があります。現代の生活では、これらを完全に避けることは難しく、生活習慣に気をつけていても近視が進むことがあります。
 こうした中で、近視の進行を抑えることを目的とした点眼治療という選択肢が注目されています。この治療は、近視を治したり視力を回復させたりするものではありませんが、成長期に近視が進みすぎるのを抑え、将来の近視度数や目への負担をできるだけ軽くすることを目指しています。
 治療を行うかどうかは、お子さんの年齢や近視の状態、ご家庭の考え方によって異なります。大切なのは、近視のリスクや治療の目的を正しく知り、医師と相談しながら、お子さんに合った方法を考えていくことです。こどもの今の見え方だけでなく、これから先の目の健康を考えるきっかけとして、近視について知ることには大きな意味があります。