広報こしがや

No.352 花粉症 井上 良江

Q毎年花粉症に悩んでいます。いろいろな治療法があると開きますが最も良い治療法を教えてください。 Aスギ花粉症の症状は、ひどい場合睡眠を障害したり、他のアレルギー疾患(喘息・アトピー性皮膚炎)の併発・悪化もきたし、最近では乳幼児にも発症しています。 治療法は、減感作療法、薬物療法、手術などがあります。それぞれにつき説明します。 滅感作療法とは、抗原を少しずつ注射し体をならし症状を出にくくする方法で根本的な治療法です。しかし、長時間・頻回の通院を要するため時間的に無理が多いようです。 薬物療法ですが、花粉症を完治させる治療ではありませんが、症状を和らげシーズンを快適に過ごすため欠かせない最も一般的で有効な治療法です。薬剤によ り鼻粘膜の過敏性を悪化させないことが基本です。症状を長く放置しておくと、より鼻粘膜が過敏になるため、軽症のうちに治療を開始することが大切です。ま ず、鼻粘膜を過敏にしないようアレルギーを起こしにくくする薬(抗アレルギー薬)を、花粉が飛散する前から服用し始めシーズン終わりまで続けます。症状が 出てしまった場合には、症状を抑える薬(抗ヒスタミン薬)を併用したり、点鼻薬や点眼薬も併用します。抗ヒスタミン薬の効果は早く現れますが、眠気を伴っ たり尿閉をきたすことがありますので腎疾患や前立腺疾患の方は注意が必要です。点鼻薬はステロイド剤が中心になりますが、鼻粘膜への使用ですので全身への 影響はほとんどなく優れた効果が得られます。特に鼻閉が強い場合には血管収縮薬の点鼻も有効ですが、使いすぎると薬が切れた時にかえって鼻閉がひどくなる ことがあります。また漢方薬で鼻症状をコントロールできる場合もあります。眼症状には、抗アレルギー点眼薬を中心に、症状が強い場合にはステロイド点眼薬 を併用しますが「ステロイド緑内障」という副作用があるため注意を要します。 手術的にレーザーや電気で鼻粘膜を焼く方法でも症状を抑えることができますが、花粉が飛散している時は出血しやすく麻酔も効きにくいので行いにくく、根治治療ではないため薬の服用は必要です。 最近、一回注射をしただけで症状が抑えられる治療があるかのように言われていますが、全身的な副作用も考えられるため一般的ではありません。