No.382 スポーツ突然死 境医院 境 秀博
昭和61年、松江市で女子バレーボールの試合中突然死したハイマン選手。マルファン症候群による大動脈破裂でした。それ以後スポーツ突然死が注目され、昨年11月、スカッシュプレイ中の高円宮様、本年6月、サッカー・コンフェデカップ準決勝でのカメルーンのフォエ選手28歳の突然死。フォエ選手は194cmの長身、長い手足の特徴から同じマルファン症候群からの大動脈破裂も考えられましたが、心室細動だったようです。
来年は「彩の国まごころ国体」が行われます。その準備として、今年は5月に、リハーサル大会(軟式野球)が越谷で行われました。本大会では軟式野球、バレーボール、サッカーが予定されています。毎年130人のスポーツ突然死が発生し、県内でも7~8人亡くなっています。突然死は脳出血、肺梗塞、血管疾患などでも起こりますが、90%近くは心疾患が原因です。その中でも90%は心室細動です。身体強健なスポーツ選手といえども、十分なチェックが必要です。一般の人でも、ゴルフ、ゲートボールなどの軽い運動でも起こっています。失神発作・心筋症・狭心症等の既往のある人、突然死の家族歴のある人はランニングなどのスポーツ参加は控えなければなりません。寝不足、飲酒、運動時のどうき、めまい、疲労感が強い、脱水傾向にあるなどの条件の重なる人はスポーツ参加を取りやめる勇気が必要です。
しかし、十分注意をしていても心不全は起こりえます。突然死の80%を占める心室細動を救命するには心マッサージ、人工呼吸等の蘇生術も大切ですが、除細動が必要となります。以前のものものしい電気ショックとは違い、現在は簡易型の自動体外除細動器(AED)が開発され、胸に当てるだけで自動的に心電図を解析し、除細動が必要かどうかを表示し、あとはボタンを押すだけという優れものです。法的には医師のみの使用でしたが、4月からは救急救命士も使用可能になり、競技会場での救命率が上がるものと期待されます。
「彩の国まごころ国体」では、救急隊、派遣スポーツドクターは必ずAEDを帯同して競技会場に臨んでもらいたいものです。