No.402 食道癌について 清松クリニック 清松 瑤一郎
食道癌の発生率は多くはありませんが、いったん罹患りかんすると手術も大変で、治癒率が低い、非常に怖い病気です。男性の高齢者(60歳台)に多く見られる病気で、毎年1万人位の方がかかります。原因は不明ですが強い酒、タバコ、熱いものなど刺激物を好んで飲む人に多い傾向があります。
食道は飲食物を口から胃に運ぶ通路です。その食道内壁の粘膜から癌が発生して、大きくなり、壁を突き抜けて、気管、気管支、肺、心臓にいたり、脳・肝臓などにも転移します。症状として、まず、のどの違和感が現れ、チクチク痛んだり、熱い、冷たい物を飲み込むとしみたり、食事がつかえたりします。背中や胸の痛みを起こすこともあります。
食道癌は、バリウムを使った胃透視検査でも発見はできますが、内視鏡検査が最も確実です。粘膜の変化があると、染色液を散布し、細胞を採取し、癌を診断します。超音波・CT・MRI検査などで癌が早期で粘膜内だけと判断したら、癌細胞の含まれた粘膜を内視鏡下で器械を使って剥離はくりする「内視鏡的粘膜切除術」を施行します。多くの方が治ります。しかし、癌が粘膜を越えるか、近くのリンパ節に転移すると外科手術となります。また、手術で完全にとりきれない可能性があると、まず、放射線照射し、癌を小さくし、手術をします。手術が不可能な場合は放射線療法と化学療法(抗癌剤)を併用し、延命を図ります。手術ができても治癒率はほぼ30%で、予後が悪いのです。
では、食道癌になりにくい、なっても治癒するためには何に気をつけたらよいのでしょうか。
①タバコは吸わない…たとえ以前吸っていても、禁煙して10年も経てば、危険はほぼなくなります
②アルコール摂取はほどほどにしましょう…飲みすぎに、特に強いお酒には注意しましょう
③熱すぎる食べ物は避けましょう…少し冷まして食べるようにしましょう
粘膜の細胞の遺伝子が傷ついて、癌が発生します。まず、このように生活習慣に注意し、定期的に検査を受ける事が大事なのです。