広報こしがや

No.408 子どものやけど 越谷ふれあいクリニック 土屋 博之

最近の新聞に乳幼児の死因のトップは、浴槽での水死、交通事故、窒息などの不慮の事故で、家庭内でちょっと注意をすれば防ぐことができると呼びかけております。その一つに小児のやけどもあり軽症を含めると3人に1人が経験しており、その一割が医療機関を受診しております。 やけどの原因には、家庭内にあっては熱源のすべてが原因となり、ポットのお湯、テーブル上の味噌汁やお茶、ラーメン、炊飯器、お風呂などで、屋外にあっては楽しい夏休みの家族そろっての花火、バーベキュー、キャンプファイアーなどです。 乳幼児はまだ何が危険であるかの判断ができませんから、是非一度やけどの原因になる家庭内や屋外の熱源のチェックを行ってください。家庭内での熱源は畳や床の上には置かず子どもの手の届かない1誡以上の高さに置くとか、テーブル上の熱性液体をこぼすもとになるテーブルクロスを敷かないなどの注意をしましょう。また、ある年齢までは子ども一人でお風呂に入ったり花火で遊んだりすることは避けましょう。 さて、実際お子さんがやけどをした時、どの様な処置をしたらよいのでしょうか。まず受傷後できるだけ早く局所を水道水で冷却・洗浄を低体温にならないように10分程度はしてください。冷却により疼痛とうつうは軽快し浮腫ふしゅは抑制されます。冷却・洗浄後は受傷部を清潔なガーゼあるいはシーツに包み至急近くの医療機関(外科、小児外科、皮膚科、形成外科)を受診してください。その際家庭にある成分不明な軟膏は使用しないでください。べったりと塗られた軟膏でやけどの程度がわからなくなるばかりでなく、感染も合併するなど、その後の処置に大変困る事が起こります。 やけどの評価には、主にその面積と深さによりますが、表皮に発赤のみのⅠ度熱傷と熱傷面積10謾以下の水泡を形成するⅡ度熱傷は軽症とされますが、受傷部感染の合併により深さの程度も重くなります。皮膚全層におよぶⅢ度熱傷は、皮膚移植や瘢痕はんこん形成の問題が起こります。熱傷面積の目安として子どもの片上肢は約10謾とみられますのでそ、れ以上の面積であれば入院が必要になる可能性があります。 以上、子どものやけどについて述べてまいりましたが、その原因はほとんどがご家族の注意で防げるものである事、また最初の受傷現場でのご家族の処置が大変重要である事を強調したいと思います。