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NO.646 骨粗しょう症と 女性更年期症候群の関係 よしけん整形外科内科 骨粗しょう症・ 認知症クリニック 吉田健太郎

  骨粗しょう症とは、骨密度が低下して骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。
 特に高齢女性に多く見られ、背骨や手首、大たい骨などの骨折が多発し、寝たきりや要介護の原因となります。
 生活の質が低下するとご家族の生活環境の変化、経済負担の増加につながりますので健康寿命を延ばすことが大切です。
 女性において骨粗しょう症が増える大きな理由の一つが、更年期に伴う女性ホルモン「エストロゲン」の急激な減少です。
 女性は閉経を迎える40代後半から50代にかけて、卵巣機能が低下しエストロゲンの分泌が著しく減少していきます。
 この時期に現れる心身の不調を「女性更年期症候群」といい、のぼせ、発汗、イライラ、不眠、関節痛など多様な症状が現れます。
 実はこのエストロゲンは、骨の新陳代謝にも深く関わっており、骨を壊す「破骨細胞」の働きを抑え、骨をつくる「骨芽細胞」を助ける 役割を持っています。
  そのため、エストロゲンの減少によって骨の破壊が進み、骨密度が急激に低下することになります。
 実際に、閉経後5~10年で骨密度は急激に減少する傾向があり、早期の予防と対策が重要であります。
 対策としては、カルシウムやビタミンD、ビタミンKなどの栄養を積極的に摂取すること、日光浴や適度な運動による骨への刺激、さらには必要に応じてホルモン補充療法(HRT)を検討することが挙げられます。
  また、骨粗しょう症検査をして他の適切な治療をすることも大切です。
 骨粗しょう症は目に見えにくい疾患ですが、一度骨折してしまうと生活の質を大きく損ないます。
 更年期を迎えた女性は、自分の身体と向き合い、定期的に骨密度を測定し、栄養・運動・医療の三本柱でしっかりと予防に取り組むことが大切です。