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NO.648 C型肝炎について 越谷レイクタウン駅前 胃と大腸の消化器内科 内視鏡・肛門クリニック 石田 隆志

  C型肝炎の治療は、以前はインターフェロン注射で貧血や腎機能が悪いとできなかったり、治療を開始しても発熱・けん怠感は必発で白血球減少、うつ、自殺企図、脱毛、糖尿を合併したりと強い副作用があり、高齢者など治療ができない患者様も多くいらっしゃいました。また、できたとしてもウィルスタイプによっては治癒率が50%以下であり効果も不十分でした。
 しかし、2014年に直接作用型抗ウィルス薬(いわゆるDAA)が開発されると、C型肝炎の治療はガラッと変わりました(現在の薬のタイプは2015年から)。注射で通院の必要はなく飲み薬だけで治療ができるようなったのです。しかも、インターフェロンのような副作用がほとんどなく、これまでインターフェロンが使えなかった患者様でも短期間で安全に治療ができるようになりました。治療効果も慢性肝炎から代償性肝硬変までの初回治療の場合95%以上(非代償性肝硬変でも9割程度)と驚くほど成績よく体内からウィルスをなくすことが可能となりました。内服だけでほぼ完治できるというインターフェロン治療で苦労していた頃からは想像もつかないような時代となったのです。お薬は非常に高く200万円以上はかかるのですが、肝がんの合併がない方は医療費助成を受けることができ、月の自己負担が1~2万円で2~3カ月で治療できます。
 これだけいい時代になったので、恐れずに積極的に検査をして感染しているかを自分で知っておいたほうがいいです。日本で潜在キャリアが22万人もいると推定されているからです。沈黙の臓器と言われる肝臓は肝炎になっても自覚症状はほとんどありません。気付かないまま20~30年かけて肝硬変や肝がんへ進んでいきます。肝がんの年間死亡者数は約2.3万人で肺がん、大腸がん、胃がん、すい臓がんに次いで5位。肝がんの原因の5割近くは未だにC型肝炎とも言われています。がんにならなくても腎臓、肺、血液、心臓などほかの臓器等に病気を引き起こす可能性もあります。
 越谷市もそうですが、一生涯に一回無料でC型肝炎ウィルスの検査ができます。特定健診と同時にもできますので、一度は検査を受けることをお勧めいたします。