広報こしがや

No.429 帯状疱疹の痛み 村田クリニック 村田 一也

帯状疱疹は、体の左右どちらか一方にぶつぶつの水疱すいほうができて、とても強い痛みを伴う病気です。痛みが先に現れて、しばらくしてから水疱が出てくることもあります。原因は、子どものころかかった水疱瘡みずぼうそうのウイルスです。このウイルスは、長い間神経の根元に潜んでいて、高齢、疲労、外傷や病気などの原因で抵抗力が弱くなると、その神経に沿って増殖し炎症を引き起こします。 皮膚の症状はほとんどが2~3週間で治りますが、なかには帯状疱疹の後遺症として痛みだけが残り神経痛を起こす方もいます。その特徴は、ひりひり、焼けるような痛み、または針で刺されるような痛み、あるいは電気が走るような痛みとさまざまです。女の方ではお産のときよりもつらいという人もいます。また、皮膚に服が少しこすれただけでもいやな感じがします。こんなに痛いのなら死んだほうがましだという人も少なくありません。 帯状疱疹後の痛みで問題なのは、この病気があまり理解されていないということです。帯状疱疹の水疱があるときには、家族や周りの人たちは痛みのことをよくわかってくれます。しかし水疱が治ったのに痛みを訴え続けると、家族や周りの人たちはだんだんそれをうるさく感じるようになります。さらには痛みは気のせいであるとか、やる気がないとかと言われるようなことがあります。このことが患者さんをうつ状態にし、痛みをさらに強く感じさせるという悪循環を起こすことになります。 治療法には鎮痛薬、抗うつ薬、抗けいれん薬、理学療法そして神経ブロック療法などがあります。神経ブロック療法はつらい痛みを治していく積極的な方法です。また、早期から神経ブロックを行うと長期にわたる痛みが残りにくいともいわれています。帯状疱疹にかかった人すべてが痛みを残すわけではありませんが、高齢者や、体の弱った人は痛みが続いてしまうことがあります。帯状疱疹後神経痛は高齢者に多い病気ですが若い人でもなります。 帯状疱疹は、後遺症である帯状疱疹後神経痛をなるべく残さないように、医師と相談しながら早期からきちんとした痛みの治療を受けることが大切です。