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No.435 パーキンソン病について しもかわクリニック 下川 雅丈

パーキンソン病は、①安静時の手足のふるえ、②手足の筋肉のこわばり、③身体の動きが遅くなる、④倒れやすくなる、これらを4大症状とする脳の病気です。英国のジェームズ・パーキンソン医師が1817年に初めて報告した病気で、報告者の名にちなんでパーキンソン病と呼ばれるようになりました。主に50歳以降に発症し、ゆっくりと進行します。通常は遺伝することはありません。脳の黒質という部分の神経細胞が変化・減少し、そこで作られるドパミンという物質が不足することが原因です。 ドパミンという物質には、姿勢を保ったり運動の速さを調節したりする働きがあります。なぜ黒質の神経細胞が変化・減少するかはまだわかっていませんし、予防法もありません。ただ、薬でドパミンを補充することにより治療が可能で、適切な治療を受けると寿命は健常人と変わらないといわれています。治療を受けながら就労している方、スポーツを楽しんでいる方も数多くいます。しかし、適切な治療を受けないと早期に歩行困難や寝たきりになるので早期発見がとても大切です。 有病率は約1000人に1人の割合で越谷市には300人余りの患者さんがいる計算になります(これは関節リウマチや狭心症と同程度です)。また、70歳以上に限ると約100人に1人という頻度の高い病気です。ボクシングのモハメド・アリやハリウッド俳優のマイケル・J・フォックスもパーキンソン病であることを告白しています。診断は病歴、症状、神経内科的診察、ドパミンの効き目、脳の画像診断などを参考に総合的に行われます。パーキンソン症候群というパーキンソン病と似て非なる病気との鑑別が難しい場合もありますが、MIBG心筋シンチグラフィーという画像診断の検査の登場でかなりわかるようになりました。 パーキンソン病は決して珍しくない病気で、50歳以上の方はどなたでもかかる可能性があります。心配な方は早めに神経内科を受診してください。また、現在治療中の患者さんは前向きに治療に専念されるようお願いいたします。