広報こしがや

No.443 心臓を癒す おおばクリニック 大場 富哉

心臓病の中でも狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患が増えています。この病気は心臓に血液を送っている冠動脈の動脈硬化が主な原因ですが、以前なら70歳代より生じるような重症な冠動脈病変が40~50歳代で起こっています。ライフスタイルの欧米化によるメタボリックシンドロームの急増とストレス社会の心臓への影響は重大です。この心臓病の危険因子として①高血圧、②糖尿病、③脂質異常症(LDL[悪玉]―コレステロールや中性脂肪が高い、HDL[善玉]―コレステロールが低い)、④肥満、などの生活習慣病や⑤喫煙、⑥ストレス・過労などがあり、このうち3つ以上の危険因子を持っている人は危険因子がない人と比較して、心臓病になる確率が約36倍も高くなります。したがって、心臓のためには盧食事は塩分を控えて、動物性脂肪は少なめにし、カロリーの過剰摂取をしない、盪適度な運動を長く続ける(散歩、ジョギング、水泳…)、蘯禁煙、盻適度な飲酒の習慣(ビールなら大瓶1本、日本酒なら1合)が望ましい生活習慣といえます。 内臓脂肪型肥満に加えて、このような複数の危険因子を併せ持つ状態はメタボリックシンドロームと呼ばれ、40~70歳までの男性の2人に1人、女性の5人に1人が「メタボ」だといわれています。今年から始まった特定健診は、増え続けている「メタボ」の早期発見・早期治療を目的としていますので、健診を受けて健康状態をチェックされることをお勧めします。 また、不安を感じたり緊張したりすると動悸を感じることからもわかるように、特に循環器系はストレスに敏感に反応します。このため昔は心・魂は心臓に宿ると思われていたほどです。最近は、強いストレスや過労、極度の緊張などが原因となって心臓病と似た症状(動悸、心臓部痛、呼吸困難、めまい、失神、発汗)を呈する病気も増えていますので、自己診断をせず一度は専門医を受診してください。この病気は心臓自体には異常はありませんが、ストレスを解消する、十分な睡眠をとる、忙しくてもどこかで緊張から解放される時間をつくる(好きな音楽を聴く、ゆっくり風呂に入って寝る、自然の中でくつろぐ…)、良い家庭・対人関係を心がける、このような配慮が必要です。